【銘柄分析①】ファナック:産業用ロボットとAIの融合
フィジカルAI関連銘柄としてまず名前が挙がるのがファナックです。
ファナックはすでに、ロボットがロボットを作るという高度な自動化を実現しています。これにAIを実装し、ロボットに「目と脳みそ」を持たせることができれば、これまで反復作業しかできなかったロボットが、イレギュラーな状況にも自動認識で対応できるようになります。人間が担当していた「最後の仕分け」などの工程にファナックの製品が導入されれば、さらなる売上増が期待できます。
【銘柄分析②】安川電機:精密制御の要「サーボモーター」の世界シェア
続いて注目すべきは安川電機です。同社は、狙った場所で正確に止めるための制御用モーターである「サーボモーター」で世界トップシェアを誇ります。
サーボモーターは、ロボットの肘、肩、腰、膝といった「関節部分」に大量に必要となります。特にヒューマノイドロボットの指を動かすような、より緻密でハイエンドなモーター需要が今後激増すると予想されています。
NVIDIAがフィジカルAIの社会実装に向けた協業パートナーとして、安川電機や富士通を選定したというニュース(昨年10月)も、同社への期待値を押し上げる要因となっています。
グローバル競争の構図:日本のハイエンド技術 vs 中国のゼロベース開発
産業用ロボットの分野で、日本はドイツと並び世界屈指の技術力を持っています。
- 日本の強み:長年の技術の延長線上にある「超高度な技術」。反動体分野と同様に、安川電機などの「なくてはならない部品」を持つ企業が活躍する可能性が高いです。
- 中国の脅威:中国は現在ロボット開発を猛烈に進めており、ゼロベースで概念を組み替えてくる可能性があります。
しかし、米中対立の文脈から、NVIDIAが中国企業と組むことは難しく、その分、日本のハイエンド技術を持つ企業への期待値が高まっているのです。
未来の逆転現象:AIが会話を担当し、人間が肉体労働をする?
ここで一つ興味深い、皮肉とも言える事例を紹介します。介護現場ではすでにAIが導入されていますが、AIが行っているのは「おばあちゃんとの会話(脳トレ)」です。一方で、人間は依然として「肉体労働」を担当しています。
これは、会話などのソフトウェア処理はAIの方がコスパが良いのに対し、複雑な肉体作業は依然として人間がやった方が早いしコスパが良いという、現在の技術とコストの逆転現象を表しています。ヒューマノイドロボットがこの「肉体労働のコスパ」で人間に勝てるようになるまでには、まだ相当な時間がかかるかもしれません。
個人投資家が取るべき長期的な視点
フィジカルAIは非常に夢のあるテーマですが、ソフトウェア領域でビジネスとして成立させるには、まだ多くの課題が残っています。投資家としては、単純な物量増だけでなく、安川電機のように「特定の企業しか作れないハイエンドな部品」が求められる路線になるかを見極めることが重要です。
