投信はeMAXIS Slimシリーズがやはり強いが、新規参入の動きに注目を
こうしたマーケット環境のなかで、個人の資産運用においては相変わらずインデックスファンドが人気を集めました。特にeMAXIS Slimの米国株式(S&P500)と全世界株式(オール・カントリー)の人気は衰えることなく、月ベースで数千億円単位の資金流入が確認されており、両ファンドを合わせた純資産総額は18兆円を超えています。
一方、アクティブファンドの運用成績は、ファンドによってまちまちですが、特に厳選投資を標榜して、組入銘柄数を30銘柄程度に絞り込んでいるタイプは、苦戦を強いられています。なかでも2025年は、さわかみ投信、鎌倉投信といった直販を中心に販売してきた運用会社が、資金流出に苦しめられました。これは昨年からの流れで、NISAの非課税枠拡大により、複数のファンドで運用したいというニーズが高まった結果、少数のファンドしか購入できない直販を避ける動きが広まったためです。
ちなみに、NISAの口座数は2700万に達しようとしており、今では4人に1人が口座を持つまでになりました。買付額においては、2027年12月末までに56兆円とした政府目標を上回っています。
ただ、口座数については2027年12月末までに3400万口座という政府目標を掲げていますが、徐々に口座数の増加率が低下してきているため、目標達成は微妙なところかもしれません。
また2026年で注目されるのは、運用会社の新規参入です。日本資産運用基盤やSBIグローバルアセットが今、運用のミドルオフィス、バックオフィスの業務委託を請け負うファンド・マネジメントビジネスを展開しており、制度としてもミドル・バックの外部委託が認められています。これを活用し、ローコストで運用会社を立ち上げる動きが出てくるのではないかと期待しています。
逆に言えば、運用のフロントビジネスに加え、ミドル・バックをすべて持っているフルラインナップの運用会社で、運用資産の規模が小さいところは、運用ビジネスの構造変化についていくことができず、撤退するところが出てくるかも知れません。運用資産の規模が小さいファンドで資産形成をしている個人は、注意しておいた方が良いでしょう。
