安全資産として知られる債券。個人の投資家には馴染みはうすいかもしれませんが、実はいくつものメリットを持っています。
債券を知れば、理想の投資スタイルにより近づくことができるかもしれません。
債券投資のメリットや種類について、専門家が解説します。
(全2回の1回)
※本稿は、田渕直也著『教養としての「債券」』(日本実業出版社)の一部を抜粋・再編集したものです。
安全資産としての債券
発行体にとっての債券は、長期間にわたって大きな金額を借り入れるときに非常に有効な手段ということでした。しかし、市場が発展するためには、供給側のニーズだけでなく、十分な需要があることも欠かせません。
債券の需要者は投資家です。では投資家はなぜ債券に投資するのか、簡単にみていきましょう。
債券は、株と並ぶ伝統的な投資資産の代表的存在です。市場規模も大きく、巨額の資金を運用することができます。
投資商品としての株は、うまくいけば大きなリターン(運用利益)が期待できる反面、大きく値下がりしてしまうリスクもあります。つまり、ハイリスク・ハイリターンの投資商品です。それに対して債券は、一般的にいえば、リターンはほどほどにしか期待できないものの、リスクも限定的であることが特徴です。
もちろん実際の債券には、様々なリスク特性を持ったものがあります。たとえば国債は一般にデフォルトのリスクが小さいとされ、満期まで保有すれば損失を被るリスクはほとんどありません。それでも価格はそれなりに動くので、満期が来る前に売却する場合にはある程度の損失リスクを負います。また、主に海外で取引されているハイイールド債と呼ばれる債券がありますが、こちらは比較的高いリターンを見込める代わりに、デフォルトしてしまうリスクが低くありません。
総じていえばローリスク・ローリターンから、ミドルリスク・ミドルリターンあたりに当てはまるのが債券といっていいでしょう。
したがって、投資家が債券を求める理由の第一は、長期にわたって資金を運用する場合に、「ある程度のリターンは得たいが株式投資ほどのリスクは負いたくない」というニーズを満たすことにあります。
