中長期で安定したリターンを獲得してきたファンドとその「軸」

さて、ここまで、日本株アクティブが発揮しうる選別の力について整理してきた。

では実際に、どのような視点でファンドを見ていけばよいのか。本稿では参考として、主として国内株式を投資対象とするアクティブファンドの中から、過去1年、3年、5年、10年で市場平均(ここでは、TOPIXまたは日経平均株価のインデックスファンドの平均リターンを採用)を概ね上回り、かつ、リスク調整後リターンも良好だったものをいくつか紹介する。いずれも信託報酬控除後の実績に基づき、リターンの継続性を重視して選定した。

●中長期で安定したリターンを獲得してきた日本株アクティブファンド16本

※筆者作成。データはすべて2025年11月末時点。

実際のファンドのラインナップを確認してみると、いくつかのカテゴリーに分けることができる。まずは、そのカテゴリーを順番に見ていく。

1.高配当・配当重視
株主還元強化が追い風となりやすく、キャッシュ創出力を重視することで下落耐性と持続的成長の両立を図る。

2.成長(大型グロース)
競争優位領域への集中を通じて、産業構造の変化を果実に変えることを目指す。

3.中小型株
未評価の良質企業を発掘し、長期的な飛躍を狙う。外国人投資家のカバー範囲外であるケースも多く、運用会社の独自調査能力が問われる領域でもある。

4.キャッシュフロー重視
利益に表れない企業の「稼ぐ力」にまで踏み込み、企業価値向上の過程を投資成果へつなげる。

5.割安・再評価
資本効率改善や経営改革による「再評価の余地」を成果源泉とする。改革が株価に反映される過程を先取りする。

いかがだろうか。「アクティブファンド」と一括りにしてしまうと実態が見えにくいが、実は各ファンドには銘柄を選定する上で核となる「軸」がある。その軸は多様で、収益の源泉もファンドごとに異なる。いずれも市場平均を上回る好成績を収めているが、必ずしも特定のテーマや業種を高水準で組み入れるものばかりではない。やはり大切なのは、どの企業のどのような強みを評価しているのかという視点である。長期目線でのファンド選びの視点を掴む手掛かりとして活用してほしい。

企業改革が進み、強弱がより明確になってきた今、日本株市場ではアクティブ運用の価値がいっそう高まっている。市場平均を土台として押さえつつ、その先の成果をどう拾いにいくのか。この視点が日本株投資のリターンを左右する時代に入っている。