日本株市場への注目が続く中、企業改革の進展や株主還元の強化により、企業の強弱がより鮮明になってきた。市場全体を捉えるインデックスは長期投資の土台として有効だが、その先の成果を狙うには「どの企業を選ぶか」という視点が不可欠になる。高市相場の熱気が多少落ち着き始めた今こそ、アクティブファンドの選別力に目を向けたい。

前回整理したTOPIX、日経平均株価、JPX日経400は、日本株市場の広がりを押さえる上で最適な出発点だ。一方で、企業ごとの成長余地や資本効率には差があり、近年は株価にその違いが表れ始めている。こうした差異を取り込むには、企業の質を見極めて投資対象を選ぶアクティブファンドが有効となる。

※編集部注:『日本株に注目集まる今、どう投資する? 3大指数に加えたい新たな選択肢《高市相場で国内回帰の潮流》』ご参照

日本市場には依然「地の利」がある

アクティブファンドが重視するのは、市場テーマそのものではなく、その裏側にある企業の実力だ。たとえ半導体やエネルギーなど人気テーマであっても、運用会社が構造変化への見立てを持ち、選別を行う限り、それは投資判断に基づくアクティブ運用といえる。

日本企業のIRは強化が進んでいるが、依然として中小型株を中心に情報の非対称性は残る。欧米諸国と比較すると言語の壁もあり、多くの外国人投資家にとっては未だ見落とされがちな領域だ。本質的な価値が評価されるまで時間を要する分野では、地の利を持つ国内アクティブ運用が先回りできる余地がある。独自調査や経営者対話を通じて真の強さを捉える点は、インデックスにはない優位性といえる。

信託報酬だけを見るのはナンセンス…インデックスとアクティブは補完し合う存在

アクティブファンドをめぐっては、信託報酬の高さがしばし批判の的となる。しかし、一般に公表される基準価額やリターンは信託報酬控除後の数値であり、市場平均を上回ってきたファンドは、コストを負担したうえでなお成果を残してきた存在と言える。評価すべきは、数字の背後にある運用者の哲学や銘柄選定力であるということを忘れないでほしい。

インデックスは市場全体の成長を果実として確実に取り込む一方、アクティブは企業ごとの差異を成果へ結びつける機能を持つ。どちらが優れているかではなく、役割分担が重要であるということについてもここで触れておきたい。