ガバナンス部門のチェックポイント
ガバナンス部門の認定基準は、必須項目をすべて実施し、かつ合計80点以上を獲得することが条件だ。基準は以下の5つの観点から20項目で構成される。
1. 制度運営の体制
制度運営の体制については以下の項目が評価される(最大17点)。
①制度運営について定期的にモニタリングを行なっている
- モニタリングのメンバーに総務・人事以外の部門の方が入っているか
- 経営層がモニタリングメンバーに入っているか
- 労働組合の執行部など加入者代表がメンバーに入っているか
②経営層が制度運営責任を認識し、関与している
- 経営層が加入者の制度活用に必要な継続教育、情報取得ツールの提供など環境整備に関する実施事項を認識しているか
- 経営層が事業主の責務として商品モニタリングや運営管理機関の評価が必要なことを認識しているか
- 経営層が制度運営に時間と予算を割くことを了承しているか
①と②はそれぞれ1項目以上の実施が必須となる。
2. 商品モニタリング
商品モニタリングについては以下の項目が評価される(最大20点)。
- 運営管理機関からの商品モニタリングの結果のチェック項目や判定ルールが決まっているか(必須項目)
- モニタリング結果の受け取りだけでなく、運営管理機関に追加説明や情報提供を求めているか
- 運営管理機関以外からも商品情報を収集しているか
- 提示可能な商品群(ユニバース)もチェックしているか
2026年からの新設項目として、運営管理機関以外からの情報収集が加わった。幅広く情報を求めてアンテナを広げることでより良い商品モニタリングにつなげることを狙っている。具体的には自社で取引のある金融機関や商品の運用会社などのほか、会合などで出会う他の制度導入企業の担当者との情報交換なども想定する。そのほか、金融機関のウェブサイト閲覧なども含まれる。
なお、商品モニタリングの頻度については少なくとも年1回は実施することが望ましいとしている。
3. 加入者目線の制度運営
基本方針に関する項目が評価される(最大13点)。
- 加入者目線の制度運営のための基本方針が定まっているか(必須項目)
- 基本方針を経営層と共有しているか
- 基本方針は加入者にも共有されているか
チェックシートには基本方針についての記述欄も設けられている。
4. 加入者への情報開示
コミュニケーションに関する項目が評価される(最大18点)。
- 制度の活用状況を開示しているか(必須項目)
- 商品モニタリング結果を開示しているか
- 提示商品や情報提供について加入者から要望を吸い上げる仕組みがあるか
- 加入者の意見を制度運営に反映しているか
情報開示については全加入者が閲覧可能な状態にすることが望ましく、例えばイントラネットや社内報などで伝達することが挙げられるという。
5. 運営管理機関の業務報告
運営管理機関との関係構築、業務評価が評価される(最大15点)。
- 運営管理機関からの業務実施状況について年1回以上報告を受け、対話をしているか(必須項目)
- 運営管理機関の加入者向けサービスを担当部署でチェックしているか
- 過去3年以内に運営管理機関の業務評価を実施したか
運営管理機関の加入者向けサービスとはウェブやコールセンター、退職者向け対応などのことを指す。これらについての加入者の利用状況や要望などを確認することなどが想定される。
認定取得のメリット
先述どおり、DCエクセレントカンパニー認定には応募部門において80点以上を獲得することが必要だ。自社の実態に合わせて現在実施していることをチェックリストに記入し、同協会宛にメールで提出することで応募が完了となる。
認定を取得することで、社内での制度推進活動が周知され、加入者や経営層への説明材料となるだけでなく、DC制度担当者のモチベーション向上にもつながる。企業ブランド力や対外的評価の向上にも寄与する可能性がある認証制度といえるだろう。
2025年の認定企業からは、「社内でのDC推進活動の正当性や重要性が認識された」「制度担当者としてのモチベーションが高まった」といった肯定的な声が寄せられているという。2026年度の認定申請は2月から募集が開始され、3月下旬には認定結果が通知される予定だ。

