「りそなラップ型ファンド」のリターンに注目集まる
広島銀行の売れ筋でランキング順位を上げている「りそなラップ型ファンド」は、世界各国の債券、株式およびリートなどの資産に分散投資をするファンドだが、中長期的な運用に理想的なポートフォリオを構築することをめざし、年1回程度の基本的資産配分の策定に加えて市場の変動時には機動的に配分比率の調整を行う。この機動的な配分比率の変更は、「目標リターン」を設定した3コースの目標の実現度を高めるために行う。3コースの目標リターンは、「安定型」が「短期金利+2%(リスク水準4.9%)」、「安定成長型」が「短期金利+4%(同9.8%)、「成長型」は「短期金利+6%(同15.3%)」としている。
投資家にとってあらかじめ「目標リターン」があるファンドは、資産形成を考えるうえで便利だ。ただ、運用に絶対はないため、「りそなラップ型ファンド」も目標どおりのリターンを残せているわけではない。リスク水準は良く管理されているが、リターンは目標を上振れている。実際の運用成績は、2025年10月末時点で「安定成長型」のリターンが3年で34.30%、5年で51.78%で、「短期金利(0~0.5%程度)+4%」という水準を大きく上回っている。「成長型」は3年で59.73%、5年で120.36%だ。こちらも「短期金利+6%」よりはるかに高い。しかも、リスクの水準は「安定成長型」は3年で6.92、5年で7.26なので目標より低い。「成長型」のリスクも3年で10.33、5年で11.03だ。リスクの水準は比較的コントロールされている。
売れ筋ランキングで「安定成長型」の人気が高いということは、投資家のニーズとして10%を超えるリスクは取りたくないということなのだろう。全国的な売れ筋の筆頭である外国株式インデックスファンドの場合、おおむね15%程度のリスク水準になっていることを考えれば、広島銀行の利用者のリスク許容度はやや低いと推測される(一般に投信を購入している人が、どの程度までリスク水準を意識しているかは別問題。リスクなど考えないで評判や人気で購入しているのかもしれない)。
実際の「りそなラップ型ファンド」はより低いリスクで、目標リターンより高いリターンを稼ぎ出している。売れ筋上位に長くとどまっている理由だろう。11月になって世界の株式市場が大きく揺れ動く展開になっている。リスク管理が行き届いた「ラップ型ファンド」が頼りにされる局面だ。
執筆/ライター・記者 徳永 浩

