新材料「無機コア基盤」 次世代半導体で有機材料からの置き換え狙う
最後に話題の新製品を押さえておきましょう。日本電気硝子は半導体デバイス向けの無機コア基盤(ガラス基板)を開発しました。
半導体デバイスは従来、パッケージに有機基盤が用いられてきました。従来の有機基盤は平たん性や剛性から微細化に限界があるほか、製造および稼働中に熱による変形が生じやすく、大型化や高密度化が課題です。
一方、ガラス基板は一般に平たん性や剛性で有機基盤に優れます。しかし、ビア(穴)加工時に破損しやすく、また加工に特殊なプロセスを用いることから製造コストの高さが課題でした。半導体基板は、電気的接続のためビアを設ける必要があります。
そこで、日本電気硝子はビア加工設備メーカーのビアメカニクス社と提携し、加工しやすい無機コア基盤を開発します。汎用的なレーザーでも破損リスクの低い加工が可能で、ガラス基板の低コストの導入に貢献します。さらに、特殊プロセスによるビア加工にも対応しており、より小孔径かつ狭ピッチの加工ニーズにもこたえます。特殊プロセス加工は、微細化・高集積化が求められる次世代半導体向けに採用が期待されます。
無機コア基盤はサンプル提出や性能評価の段階で、日本電気硝子は「多くの引き合い」があると説明しています。メーカーに受け入れられれば、半導体サポートガラスに次ぐ収益源に成長するかもしれません。日本電気硝子は、28年ごろに無機コア基盤事業の事業化を目指しています。