自動車の不振と競争激化で複合材は苦戦、赤字脱却目指すも逆風続く

ディスプレイや電子デバイスが好調な一方、課題は樹脂強化用のガラス繊維などを手掛ける複合材事業(旧・ガラスファイバ事業)です。広範な用途で用いられますが、事業売り上げの5割強は自動車向けです。

複合材事業も、ディスプレイ事業と同様に23年から構造改革に取り組んできました。しかし、自動車向け需要の低迷や中国企業との競争が厳しく、採算は低迷しています。今期(25年12月期)は赤字解消を掲げましたが、6月には英子会社の事業活動を停止させるなど、厳しい環境がうかがえます。

複合材の不振は連結業績への影響が小さくありません。今期の純利益の予想増益率が営業利益に対して小さいのは、関連の特別損失が一因です。英子会社の停止に伴い第2四半期で29億円の損失を計上したほか、続く第3四半期でも複合材で特別損失が発生しています。

【日本電気硝子の業績予想(25年12月期)】

・売上高:3100億円(+3.6%)
・営業利益:320億円(+422.8%)
・純利益:230億円(+90.2%)
※同第3四半期時点の同社の予想

出所:日本電気硝子 決算短信

日本電気硝子は、複合材の立て直しに向け取り組みを続けます。電気溶融比率を向上させるほか、設備あたりの生産量を引き上げることで原価を抑制します。また、電子材料用のガラスファイバを開発し、新しい需要の獲得を目指します。