継続的な取り組みが生んだ加入者の意識変化
各施策による手応えとして実感しているのは、投資信託を選ぶ加入者が大幅に増加したことです。元本確保型の残高比率は、2014年の58.3%から2024年には30.1%まで減少しました。また最大の課題であった加算拠出の割合も改善しています。教育委託先変更直後は57%であったところ、直近では72%まで向上しました。今では給与天引きで積み立てができる仕組みを、多くの社員が肯定的に捉えてくれています。
また数字以外のところでも目に見える変化がありました。例えば社員同士が「どこの何の商品を選んだ」と話し合う様子が社内で当たり前に見られるようになりました。個人面談には家族と一緒に参加する社員も増えています。地道に施策を続けてきた結果、これまで資産形成にあまり興味のなかった層も巻き込んで、加入者の老後資産に対する理解度を格段に向上させることができました。
一方、現在の課題として認識しているのは、加入者の関心度合いが二極化していることです。毎年個人面談を希望する人もいれば、必須の回以外は全く参加しない人もいます。後者は単に興味がないわけではなく、積極的ではないことが原因だと想定されるので、今後対策を考えていく必要があります。
また、今後は加入者に老後資金全体のことを勉強してもらいたいと思っています。特に社会保険制度や税金の仕組みについて幅広く知識を習得してもらうことで、DCにおける税制優遇や、社会保険料への影響について理解が進むことを期待しています。
これらの課題に対して、具体的には毎年の個人面談の機会をうまく活用していくつもりです。個人面談への参加率を上げるため、より多くの加入者が「面談を受けてみよう」という気持ちになるような情報提供の工夫も検討していきます。
企業規模・業種に合った工夫が成功の鍵
DC制度を導入している企業は、規模も業種も異なり、100社あれば100通りの工夫の仕方があると思います。当社の場合は加入者の顔が見える距離感を活かし、一人ひとりに寄り添ったサポートを提供することが効果的でした。
どの会社にも、自社に合った工夫の仕方があるはずです。「こういう方法がいい・悪い」と一概に決めつけるのではなく、それぞれの会社で最適なやり方を試行錯誤しながら見つけていくことが大切だと感じています。
会社概要 本社:兵庫県たつの市 業種:運送事業 加入者数:83名

