配当金は賃貸収入がないことには生まれないはずなのに…
確かに、年7%の想定利回りと聞けば、興味を惹かれる人もいると思います。
でも、よく考えてみて下さい。そもそも年7%もの配当金はどこから来るのでしょうか。みんなで大家さんのスキームで言うと、投資した不動産の家賃収入から配当金が支払われる仕組みです。シリーズ成田についても、「営業者が所有する成田空港周辺開発プロジェクト用地を開発事業のために賃貸し、そこから得られる賃料を受け取るだけでなく、社会へ貢献できる開発プロジェクトに参加できる事業を目指しています」とあります。
しかし、問題は現時点において、このプロジェクト用地の大半が更地であることです。更地であるということは、当然のことながら建物などはなく、したがってテナントはおらず、賃料も一切発生していないことになります。
しかも、シリーズ成田1号は、2026年1月31日に当初満了日を迎えるわけですが、このプロジェクトの完成予定は2027年、あるいは2029年などと言われています。それまで稼働できないとなると、シリーズ成田1号の償還金は、どうやって支払われるのでしょうか。一応、「当初満了日から1年を上限に契約期間を延長することがあります」とされていますが、それでも施設の稼働は間に合わない恐れがあります。もし、シリーズ成田1号の償還金を、新規シリーズを募集して集められた資金で弁済すれば、ポンジスキームになる恐れもあります。
「アグレボバイオテクノロジーセンター」はほぼ廃墟なのに、配当金が出ている不思議…
怪しいのはシリーズ成田だけではありません。これは先日、テレビニュースでも話題になりましたが、「シリーズ32号」から「シリーズ46号」のうち、10回にわたって募集が行われたファンドが投資対象とする「アグレボバイオテクノロジーセンター」は、バナナを中心に種苗が生産されているという触れ込みでしたが、実際には人の出入りがほとんどない廃墟になっています。
ところが、ほぼ廃墟であるにも関わらず、なぜか配当だけは行われてきました。前述したシリーズ成田と同様、配当の裏付けがない状態で配当が続けられてきたのです。ポンジスキームであることを疑われるのは当然です。
そして、いよいよ資金繰りが厳しくなってきたのでしょうか。シリーズ成田では配当が3カ月にわたってストップし、さらに27ファンドにおいても配当が遅延しています。これに不安を覚える組合員も少なくないでしょう。資金繰りに窮した共生バンクが破綻ということにでもなれば、匿名組合員の出資した資金は戻って来なくなる恐れがあります。