各販売会社が公開するデータをもとに、編集部独自の分析で投資信託の売れ筋を考察する連載。今回は、八十二銀行のデータをもとに解説。
八十二銀行の投信売れ筋ランキング(店頭販売件数)の2025年8月のトップは5月から4カ月連続で「セゾン・グローバルバランスファンド」だった。第2位の「ゴールド・ファンド(為替ヘッジなし)」、第3位の「グローバル・ロボティクス株式ファンド(年2回決算型)」、第4位の「次世代米国代表株ファンド<愛称:メジャー・リーダー>」までは前月と同じだった。前月は第8位だった「セゾン資産形成の達人ファンド」が第6位に上がり、トップ10圏外から「インデックスファンドNASDAQ100(アメリカ株式)」が第8位に、「三菱UFJ インデックス225オープン」が第10位にランクインした。一方、「ダイワ好配当日本株投信(季節点描)」は前月の第5位から第9位に順位を落とした。
売れ筋トップに立つ「グローバルバランス」の価値
八十二銀行の売れ筋トップになっている「セゾン・グローバルバランスファンド」は、基本的な配分比率を株式50・債券50のバランスファンドだ。長期にわたって安定した資産の成長をめざすファンドだ。2007年3月の設定から2025年8月末までの年換算収益率は5.68%、年換算標準偏差は11.14%だ。大きな下落をさけつつ、着実に資産成長をめざしたいというニーズに応えるファンドといえるだろう。過去のパフォーマンスによってファンドの価値を証明したといえそうだ。
一方、「セゾン資産形成の達人ファンド」は株式100%のファンドで、世界の優れたアクティブファンドを組み合わせたポートフォリオ運用を行っている。設定は2007年3月で、2025年8月末までの年換算収益率は8.61%、年換算標準偏差は15.17%だ。「セゾン・グローバルバランスファンド」に比べると、取っているリスクの水準が一段と高く、その分、より高いリターンにつながっている。
ただ、「セゾン資産形成の達人ファンド」を同じ全世界の株式を対象としているインデックスファンド「オルカン」と比較すると、パフォーマンスに物足りなさを感じる。2025年8月末時点の過去3年間のトータルリターンは「セゾン資産形成の達人ファンド」は46.51%だが、「オルカン」は72.8%になる。もう少し長い期間でみると、米国NASDAQ100指数に連動する「インデックスファンドNASDAQ100(アメリカ株式)」は5年で172.71%、「セゾン資産形成の達人ファンド」は92.38%だ。ファンドの趣旨としては、優れたアクティブファンドをそろえることで、インデックスを上回ることをめざしたのだろうが、現実には苦戦しているといえる。今のところでは、全世界株式に投資する選択肢としては「オルカン」に軍配があがる。
もうひとつ、2023年12月末を基準とすると「セゾン・グローバルバランスファンド」は2025年9月19日時点でプラス25.41%と「セゾン資産形成の達人ファンド」のプラス23.54%を上回っている。これは、2025年4月の急落時に下落率が小さかった効果が出た結果だ。株式市場が不安定な中では、債券との分散投資に一定の価値があることを感じさせる動きだ。