データで見ると、富裕層は「意外にいる!」
では、日本国内に億万長者は何人いるのでしょうか。
何をもって億万長者なのかという定義は定かでありませんが、「富裕層」の定義はあります。野村総合研究所(NRI)が2年に1度の頻度で調査し、レポートを出しています。
直近では2023年時点の数字を2025年2月に発表しました。その分類によると、世帯の純金融資産保有額で、以下のように分類されています(カッコ内はその世帯数)。
超富裕層・・・・・・5億円以上(11.8万世帯)
富裕層・・・・・・1億円以上5億円未満(153.5万世帯)
準富裕層・・・・・・5000万円以上1億円未満(403.9万世帯)
アッパーマス層・・・・・・3000万円以上5000万円未満(576.5万世帯)
マス層・・・・・・3000万円未満(4424.7万世帯)
純金融資産保有額で5億円以上で「超富裕層」と言ってしまうところが、長年にわたってデフレ経済を経験してきた日本のつらいところですが、2023年の日本の総世帯数は6026万6318世帯ですから、2.74%が富裕層以上であり、これに準富裕層も加えれば、9.44%が富裕層と呼ばれるクラスの仲間入り、ということになります。
ざっくり言えば、10世帯のうち1世帯は富裕層だということです。そう考えると、富裕層って案外、自分の身近なところにいる存在なのかもしれません。
ちなみに野村総合研究所のレポートによると、富裕層と超富裕層の世帯数は、この推計を開始した2005年以降で最多だったそうです。
でも、ここでいう「純金融資産」とは、預貯金、株式、債券、投資信託、一時払い生命保険や年金保険など、世帯として保有する金融資産の合計額から負債を差し引いたものですから、昨今の株価上昇によって保有している株式や投資信託の時価が上昇し、意図せずに富裕層の仲間入りを果たした人も、特にこの数年間では多いかもしれません。
あくまでも「後から振り返れば」という話に過ぎませんが、コロナショックで株価が急落した時、勇気を振り絞って株式に投資した後、そのまま持ち続け、この5年間でひと財産を築けた人もいるのではないでしょうか。
たとえば、2020年3月に、伊藤忠商事の株式を1911円で1万株買ったら、今どうなっていると思います? 投資した金額は1911万円。それが今では8249万円です。1億円にはまだ届きませんが、準富裕層には入れます。
あるいは純投資ではなく、たまたま某会社の社員が社員持株会に入っていて、積み立てていた持株が会社の成長と共に値上がりして、いつの間にやら富裕層、というケースも十分に起こり得ます。