各販売会社が公開するデータをもとに、編集部独自の分析で投資信託の売れ筋を考察する連載。今回は、ゆうちょ銀行・郵便局のデータをもとに解説。
ゆうちょ銀行・郵便局の売れ筋の2025年7月は「iFree S&P500インデックス」が3月以来のトップに返り咲いた。第2位は「つみたて先進国株式」で、以下は「つみたて日本株式(TOPIX)」、「つみたて全世界株式」、「大和ストックインデックス225ファンド」とインデックスファンドがトップ5を占めた。そして、第6位に「JP4資産均等バランス」、第7位に「野村世界6資産分散投信(成長コース)」などトップ10の後半はバランス型ファンドが占めた。
「S&P500」に追いつく「TOPIX」、高値安定は「あり」!?
ゆうちょ銀行・郵便局の売れ筋上位を占めるインデックスファンドの値動きを2024年1月の新NISAスタート当時から振り返ると、2024年の間は圧倒的に「iFree S&P500インデックス」が高いリターンをあげていた。この動きに連動して「つみたて先進国株式」、そして、「つみたて全世界株式」が続いた。「つみたて先進国株式」に占める米国株式の比率は2025年7月末時点で75.7%、「つみたて全世界株式」では同64.1%であり、米国株式の組み入れ比率が高い「つみたて先進国株式」が「つみたて全世界株式」を上回るリターンだった。
この外国株式インデックスファンドに対して、国内株式インデックスファンドは2024年の間は大きく見劣りする運用成績だった。2024年末の過去1年間のリターンでは、「iFree S&P500インデックス」がプラス40.55%、「つみたて先進国株式」がプラス34.50%、「つみたて全世界株式」がプラス32.14%に対して、「つみたて日本株式(TOPIX)」はプラス20.23%、「大和ストックインデックス225ファンド」はプラス20.48%だった。1年間で米国株式に対して国内株式は、収益率で約2倍の差をつけられていた。
ところが、2025年になると2024年の米国株式の優位さが急速に失われ、代わって国内株のパフォーマンスの良化が目立ってくる。2025年8月22日時点での年初来のパフォーマンスは、「iFree S&P500インデックス」がプラス0.75%に対し、「つみたて先進国株式」はプラス3.99%、「つみたて全世界株式」はプラス5.06%、そして、「つみたて日本株式(TOPIX)」はプラス12.72%、「大和ストックインデックス225ファンド」はプラス7.57%という結果だった。米国株式に対して国内株式や全世界株式が優位なパフォーマンスを残している。2024年に大きく出遅れた国内株式インデックスファンドが遅れを急速に取り戻しつつある展開になっているといえる。
2024年の大きなリターンの影響が残っているため、2023年末以来の基準価額の水準では「iFree S&P500インデックス」が高い水準を維持しているものの、2025年8月に日経平均株価が史上最高値を更新する上伸となり、国内株の勢いは一段と強まっている。この株価の勢いがファンドの人気にも反映されるようになるのか、今後の推移を見守りたい。