株式市場の復調で「分配金」も増額

中国銀行の売れ筋ランキングの変動には「分配金」の状況が影響しているようだ。マザーファンドを同じくするファンドでは分配金の頻度が少ない「1年決算型」や「年2回決算型」が順位を落とす中で、「毎月決算型」や「隔月決算型」のファンドが順位を上げている。これは、株式での運用環境が好転してきたことで、分配金に対する期待が高まっていることを表していると考えられる。

たとえば、「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信」は、「隔月決算型」の「Eコース」が前月第10位から7月は第6位に順位を上げ、「毎月決算型」の「Dコース」がトップ10圏外から第8位にランクインした。これに対し、「年2回決算型」の「Bコース」は前月の第7位が第9位に後退している。同じように、「One/フィデリティ・ブルーチップ・グロース株式ファンド」は「隔月決算型」が第3位を維持したが、原則として分配金を出さない「成長型」は前月第6位が第10位に落ちた。

分配金の実績をみてみると「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信」の「毎月決算型」では2025年の1月、2月は1万口あたり200円の分配金を出したが、3月と4月は運用環境の悪化で無分配となり、5月、6月、7月と100円の分配金を出した。そして、8月は200円の分配金に増額している。毎月決算型・予想分配金提示型の「Dコース」では毎月15日の基準価額が1万1000円以上1万2000円未満で200円、1万2000円以上1万3000円未満で300円など、基準価額の水準によって分配金の額があらかじめ決まっている。株式市場が復調する中で、同ファンドの基準価額は一段と上昇期待が高まっており8月に200円になった分配金は、その水準を維持するか一段と高い分配金をも期待できるようになってきた。3月、4月と分配金を出せなかった折に人気が低迷していたが、分配金が復活するとともに再び人気が高まっている。

同じように「One/フィデリティ・ブルーチップ・グロース株式ファンド」の隔月決算型は、1月に1万口当たり400円だった分配金が3月には100円に低下。5月に200円、7月に300円と分配金額が上がっている。この分配金が同ファンドの人気につながっていると考えられる。同ファンドでも基準価額が1万1000円以上1万2000円未満では200円、1万2000円以上1万3000円未満では300円などと分配金の払い出し基準が決まっている。

近年の「毎月決算型」や「隔月決算型」などの多頻度決算ファンドは「予想分配金提示型」が主流で基準価額が上がるほどに分配金の額も上がるように設計されている。このことによって、基準価額の上昇期待が高まることが多頻度決算のファンドの人気につながりやすくなっているようだ。

執筆/ライター・記者 徳永 浩