各販売会社が公開するデータをもとに、編集部独自の分析で投資信託の売れ筋を考察する連載。今回は、中国銀行のデータをもとに解説。

中国銀行の投信売れ筋ランキング(窓口販売件数)の2025年7月のトップ3は前月と同じ「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)」、「ROBOPROファンド」、「One/フィデリティ・ブルーチップ・グロース株式ファンド(隔月決算・予想分配金提示型)」だった。第4位には「三菱UFJ純金ファンド」が前月の第5位から浮上し、前月第4位だった「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(年1回決算型)」は第5位に後退した。第6位に、「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信 Eコース隔月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型」が前月の第10位からジャンプアップし、第7位には「FANG+インデックス・オープン」が上がった。

 

「ROBOPROファンド」が運用成績で優位に

中国銀行の売れ筋上位ファンドのパフォーマンスを振り返ると、年初来で最も高い運用実績を残している「三菱UFJ純金ファンド」の基準価額の上昇率が鈍化しているほか、4月の株価下落後の戻り相場で基準価額(分配金込み)の上昇に勢いがあった「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)」の動きも鈍ってきていることがわかる。結果的に多資産に分散投資する「ROBOPROファンド」が8月15日時点で年初来のパフォーマンスが第2位に上がっている。

上位4ファンドについて2025年の基準価額(分配金込み)の推移をみると、4月の安値から8月15日までの上昇率が、「One/フィデリティ・ブルーチップ・グロース株式ファンド(隔月決算・予想分配金提示型)」が41.69%で最も大きかった。次いで、「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)」の25.76%だった。同じように株式を投資対象としていても、4月の下落時に年初来で30%程度だった「One/フィデリティ・ブルーチップ・グロース株式ファンド(隔月決算・予想分配金提示型)」に対し、「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)」は15%程度と下落率は半分程度だったが、上昇率では「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)」が劣っている。それぞれのファンドの運用成績の特徴がよく表れた動きといえよう。

これに対し、バランス型ファンドの「ROBOPROファンド」は安値からの上昇率は21.74%になっている。株式ファンドである「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)」と変わらないほどの上昇率を記録した。これは市場環境に応じて組み入れ資産の比率を大胆に変更している「ROBOPROファンド」の特性が発揮された結果だろう。「ROBOPROファンド」が売れ筋第2位の人気をキープしている背景に、このような市場変化への対応力への評価があると考えられる。

一方、パフォーマンスの点では株式ファンド等を大きく上回っている「三菱UFJ純金ファンド」だが、4月安値からの上昇率は11.09%にとどまっている。株式市場は米国の関税政策の影響で世界経済に大きなダメージを受けるのではないかという見方が広がったために急落し、その後、関税率を巡る各国との交渉が進む中で、想定したほどには株式市場に大きな悪影響はなさそうだという見方に変わって下落した株価が戻ってきた。純金の価値は、このような世界経済の短期間の動きに直接的な影響を受けるものではないため、4月の株価下落時に大きく下げることもなかったために、その後の戻りも大きくないという結果になっている。むしろ、8月になって株式市場が一段と上昇に向かいそうな中で、「三菱UFJ純金ファンド」の値動きは横ばいになっている。

今後、各ファンドのパフォーマンスの推移が、売れ筋ランキングにどのように反映されることになるのか注目していきたい。