各販売会社が公開するデータをもとに、編集部独自の分析で投資信託の売れ筋を考察する連載。今回は、福岡銀行のデータをもとに解説。
福岡銀行の売れ筋(店頭販売件数ランキング)の2025年7月は、前月に引き続き「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Bコース(為替ヘッジなし)」がトップだった。第2位には「米国NASDAQオープンBコース」が前月第3位から上がり、前月第2位だった「三井住友・配当フォーカスオープン」は第3位に後退した。また、前月は第9位だった「One国内株オープン『愛称:自由演技』」が第6位にジャンプアップし、トップ10圏外から「野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)」が第7位に、「グローバル・ハイクオリティ成長株ファンド(為替ヘッジなし)『愛称:未来の世界』」が第10位にランクインした。
国内株アクティブファンドの評価が高まる
福岡銀行の売れ筋上位では、4月に「ストックインデックスファンド225」がトップだったが、徐々に評価を下げて7月にはついにトップ10圏外に落ちた。代わりに、「三井住友・配当フォーカスオープン」や「One国内株オープン『愛称:自由演技』」、「スパークス・新・国際優良日本株ファンド『愛称:厳選投資』」などのアクティブファンドが評価を高めている。評価の背景は、個々のファンドのパフォーマンスがインデックスファンドを上回っていることがあるだろう。これまで米国や先進国の株価に対して出遅れているという指摘があった国内株だが、7月末に「TOPIX(東証株価指数)」、8月には「日経平均株価」が相次いで史上最高値を更新し、株価上昇に弾みがついてきた。今後も国内株ファンドに活躍の期待が持てる状況になっている。
「三井住友・配当フォーカスオープン」は、企業の配当性向や予想配当利回りに着目し、組入候補銘柄群を抽出している。7月末時点で「TOPIX」の予想配当利回り2.5%に対して、同ファンドでは3.9%の利回りを実現。4月の株価下落時に下落率が比較的軽微だったこともあり、日経225インデックスファンドを上回るパフォーマンスを実現した。
「自由演技」は、マクロの投資環境の変化に応じて、その時々で最適と判断される投資スタイルで運用を行うアクティブファンド。4月の急落時に発表した臨時レポートによると、4月7日のTOPIXの予想配当利回りが3.2%となり、過去10年間の平均2.3%を大きく上回り、コロナショック時の3.3%、リーマンショック時の3.0%に匹敵する水準になったと判断。日本企業は財務余力があり、自社株買いなど個別企業レベルでも、株価を支える手段をもっていると考えていたことから、4月の下落を長期的な投資チャンスとみたことを表明していた。その当時に積極的に購入に動いたことなどが6月以降の株価の回復時、同ファンドの基準価額の強い戻りにつながったと考えられる。
「厳選投資」は、高い技術力やブランド力があり、今後グローバルでの活躍が期待できる日本企業を中心に投資し、20銘柄程度に厳選投資する。同ファンドは年初から一貫して国内株インデックスファンドを上回る運用成績を記録している。4月の急落からもいち早く立ち直る動きになった。
福岡銀行の売れ筋上位の国内株ファンドは、それぞれに特徴的なポートフォリオで日経225インデックスファンドを上回る成績を残している。8月に日経225が史上最高値を更新し、一段と上昇している中で、個々のアクティブファンドがどのような動きになるのか注目したい。