各販売会社が公開するデータをもとに、編集部独自の分析で投資信託の売れ筋を考察する連載。今回は、野村證券のデータをもとに解説。

野村證券の投信売れ筋ランキングの2025年7月は、前月に続いて「野村インデックスファンド・日経225(愛称:Funds-i日経225)」がトップだった。第2位には前月第9位だった「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンドDコース(毎月決算・予想分配金提示型・為替ヘッジなし)」がジャンプアップした。また、第3位に「eMAXIS S&P500インデックス」が上がり、トップ10圏外から第7位に「東京海上・宇宙関連株式ファンド(為替ヘッジなし)」がランクインするなど、米国のハイテク株に関して再び強気の見方が強まったようだ。一方、前月は第3位だった「eMAXIS 日経225インデックス」が第8位に落ちた。前月第7位だった「ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)」も第10位に後退するなど、米国株以外の資産に関してはやや評価が下がった印象だ。

 

再燃する米国テクノロジー株ファンド人気

7月の売れ筋で第2位に躍進した「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンドDコース(毎月決算・予想分配金提示型・為替ヘッジなし)」は、成長期待が強く、かつ、割安な銘柄に投資するファンドだ。同ファンドは2024年10月以来、分配金利回りにおいて毎月決算型の全公募ファンド中トップを維持し続けている。組み入れ上位銘柄は、エヌビディア、マイクロソフト、メタ・プラットフォームズ、アマゾン、アップルなど、いわゆる「マグニフィセント・セブン」といわれるテクノロジー大型株が上位に並ぶポートフォリオを運用している。

また、前月から第5位の順位をキープしている「野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)」は、半導体関連株に特化したポートフォリオで運用しているファンドだ。そして、トップ10にランクインした「東京海上・宇宙関連株式ファンド(為替ヘッジなし)」も衛星やロケット等の宇宙開発関連のテクノロジー企業に投資するファンドになっている。7月の売れ筋ランキングで評価を高めたファンドは、いずれもテクノロジー企業にフォーカスしたファンドといえる。2025年の運用成績を振り返ると、「東京海上・宇宙関連株式ファンド(為替ヘッジなし)」が年初から他のファンドを圧倒するパフォーマンスを示している。また、「野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)」は4月の急落時に、他のファンドよりも大きな下落率となったが、その後の切り返しでいち早く年初来の高値を更新し、「S&P500」インデックスファンドを上回る成績になっている。このパフォーマンスの良さが改めて注目されるきっかけになっているのだろう。

特に、パフォーマンスが際立つ「東京海上・宇宙関連株式ファンド(為替ヘッジなし)」は、2025年1月に米トランプ大統領が打ち出した新たなミサイル防衛システム「ゴールデンドーム」による衛星ネットワークの構築など宇宙空間の利活用が一段と活発化することを材料視しているようだ。弾道ミサイルや極超音速兵器、大規模なドローン群など、空中を経由したさまざまな脅威から米国本土を守ることを目的とした「ゴールデンドーム」計画に対し、共和党は2026年度予算案において250億米ドル(約3.8兆円)の配分を議会に求めている。向こう3年間での予算規模は約1750億米ドル(約26.4兆円)と見積もられ、さらに、実用的な運用にはより多くの投資が必要と考えられている。この計画が宇宙関連企業の業績にポジティブなインパクトをもたらすことは間違いない。それが、年初からのファンドのパフォーマンスに表れている。