「終活は必要」と考える人でも、3割は「準備していない」

終活の準備は老後生活を安心して送るために必要な一つの要素と考える人もいるだろう。内閣府の調査「令和7年版高齢社会白書」(2025年6月10日発表)によると、老後のための備えとして「終活関係の準備(自身の葬儀やお墓の準備、財産等の整理・相続の準備)」が必要と挙げた人のうち、今後の生活の中で「準備しているものはない」と回答した割合は32.9%と約3割に上る。

一方で、老後の備えとして終活関係の準備が必要と回答した人のうち、実際に終活の準備を進めている人は60.2%。具体的には葬儀の準備、お墓の準備、財産の整理(相続の準備等)、身の回りの所有物の整理、エンディングノートの作成、リビングウィル※の作成などのうち、1つ以上を選択した人たちだ。

※終末期医療の指示・介護の希望・代理人の指定等のこと

調査結果を表した図表
 
出所:内閣府「令和7年版高齢社会白書」
 

結果からは、終活の必要性を認識しながらも実際には行動に移せていない層が一定数いることが分かる。終活は自分自身のためだけではなく、家族や身近な親しい人、遺される人々のためでもある。自分の人生を振り返りながら、少しずつでも早めの準備に着手してみてもよいかもしれない。

いつまで働くか

調査では、高齢期における仕事についても質問をしている。60歳以上の人のうち、現在収入を伴う仕事をしている人、また、75歳くらいまであるいはそれ以降も働き続けたい人の割合は前回調査時から上昇し、いずれも約4割に達している。

仕事をする理由としては、「収入」を挙げる人が最も多い。しかし実際に仕事を選ぶ際には、給与よりも「自分の経験やスキルを生かせること」「自宅から通いやすいこと」「仕事にやりがいがあること」「体力的な負担が少ないこと」を重視する傾向がみられた。

また、年代によっても重視する項目は異なり、年代が低いほど経験やスキルが生かせること、年代が高くなるほど体力的な負担が少ないことを重視する傾向がある。

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