「防災・防犯意識」「地域とのつながり」が高いのは?
なお、「防災・防犯に関する備え(住宅の防災対策、防災用品の備蓄、防犯システムの利用等)」については全体で21.6%が必要だと回答しており、資産形成(24.2%)よりもわずかに低い割合となっている。家族形態別に見ると、配偶者・パートナーと同居している人(23.2%)や子と同居している人(23.9%)が比較的高い意識を持っている。自然災害や犯罪による被害に対する不安は無視できない要素であり、特に家族と暮らす人々はその安全対策にも関心を向けていることがうかがえる。
そのほか、「地域・職場等で人とのつながりを持つこと」を必要な備えとして挙げた人は全体で12.4%と決して高くはないが、ひとり暮らしの人では14.5%と若干高くなっている。孤独や孤立が社会問題となっており、単身高齢者にとって地域社会との関わりが重要な支えになっているようだ。
老後の備えとして多くの人が頭を悩ませる「お金」の問題だが、実際に高齢期を迎えている人の間では健康維持や住まいの確保など、生活の質を維持するための多様な要素が重視されていることが明らかとなった。年齢や家族構成によって優先順位は異なるものの、「健康」という財産の重要性は万人に共通している。
老後に向けた備えを考える際には、資産形成だけでなく、健康維持や生活環境の整備、人とのつながりなど多様な視点から準備を進めることが大切だ。
調査概要 白書名:令和7年版高齢社会白書 調査主体:内閣府 公表日:2025年6月10日