年代が上がるほど「資産形成」の優先度は下がる
年代別の詳細な結果を見ると、さらに興味深い傾向が浮かび上がる。「資産形成(貯蓄・投資)など」を必要な備えとして挙げた割合は、年代が上がるにつれて明らかに低下しているのだ。
60〜64歳では男性の44.7%、女性の42.1%が資産形成を重視しているのに対し、85歳以上では男性8.6%、女性7.1%と大幅に減少する。これは高齢になるほど新たな資産形成よりも現有資産の活用などに関心が移っていくことを示唆している。
65歳以上を見ると、「資産形成(貯蓄・投資)など」と回答したが男性で23.9%、女性で16.2%となっている。全体では男性27.8%、女性20.5%であり、それぞれ3.9ポイント、4.3ポイント低い。65歳となると一般的に年金を受給し始める人が主流となり、ある程度収入が安定することで新たな資産形成への関心が薄れるのかもしれない。
家族形態によって異なる備えの優先順位
調査では家族形態別でも分析をしている。結果として、同居する人の有無にかかわらず「健康に関する備え」が最優先されていることが分かった。しかし、その他の備えについては興味深い違いがある。
親と同居している人は「住まいに関する備え(住宅の確保やリフォーム、修繕等)」を重視する傾向がある(33.0%)。60歳以上の人の親となると、80代以上の世代だろう。そうした親世代との同居に伴う住環境の整備や、将来の相続を見据えた住宅改修などが背景にあると考えられる。
また「資産形成(貯蓄・投資)など」に関しては、ひとり暮らしの人では17.8%が備えとして必要だと回答しているが、親と同居している人では45.5%と大幅に高い割合を示している。世代間での経済的な支え合いや、将来の介護に備えた資金準備の必要性を感じているのかもしれない。
ほかにも、配偶者またはパートナーと同居している人は健康に関して備えが必要だと判断している割合が84.6%と特に高く、他の家族形態の人と比較しても健康への関心が強いことが分かる。このように自身を取り巻く環境によって何を重視するかがはっきりと調査結果に表れている。