銀行、証券、生損保で元本確保型商品の選択割合に差が

また、iDeCoを始める時にどの金融機関を選ぶかは誰しもが悩むところだろう。その金融機関を業態別でみると、iDeCoの元本確保型を選ぶ加入者の割合に顕著な差があることも今回のレポートでは明らかになっている。

出所:金融庁「資産運用サービスの高度化に向けたプログレスレポート2025」

上表からは「損保」「地銀・信金・労金」「その他」「生保」で元本確保型商品のみ運用者の割合が高くなっていることが分かる。中でもiDeCoと企業型 DCの元本確保型商品のみ運用者の割合を比較すると、 全体ではおおむね iDeCo の方が低い。これは加入者等の数が多い「証券等」(ネット系証券)において元本確保型を選ぶ割合が低いことによると考えられる。

一方で、損保、地銀・信金・労金、その他、生保では、企業型 DCよりも iDeCoの方が元本確保型のみの割合が高い。さらに詳しく金融機関大手11 社でみると、金融機関によって元本確保型のみで運用する加入者等の割合は数%~約 40%のばらつきがある。運営管理機関によって商品ラインアップに違いがあることや加入時の案内などに差があるからだと推察される。

足元の物価水準は上昇基調にある。物価の上昇率を下回る金利・利率の元本確保型商品で長期に運用していく場合、実質的な資産価値が目減りし続けることになる。運営管理機関には加入者ごとの状況や経済、金融環境を踏まえた適切な商品選択が可能となるよう、取り組みの強化が求められる。一方、加入者も今一度、自身の商品選択を見直してみることが重要だ。