日本のETF、個人投資家の間の人気はイマイチ…?

東京証券取引所にETFの上場市場が誕生したのは2001年のこと。以来、24年が経過して、投資信託協会のデータによれば、2025年5月末時点の純資産残高は89兆7939億5400万円、運用本数は331本にもなりました。ETFを含む追加型株式投資信託全体の純資産残高が230兆735億7400万円ですから、ETFが占める比率はその約40%にもなります。

このように書くと、ETFがこの24年間で順調に成長してきた印象を受けますが、89兆円のうちの大半は、日本銀行による買入分です。東京証券取引所が6月4日に公表したレポート、「東証ETF市場の現況と今後の可能性」によると、4月末時点で約87兆円あった東証上場ETFの純資産残高のうち、日銀買入分を除いた他の投資家の保有分は、15兆円弱です。

ちなみに、このうち個人が保有している純資産残高は、2024年7月時点が2兆1382億9800万円で、そのシェアは2.4%ですが、前年の2023年7月時点の純資産総額が1兆5297億3200万円だったことからすれば、確かに伸びてはいます。

ただ、日銀買入に伴うETF市場全体の純資産残高の伸びから見れば、個人のそれは微増に過ぎません。もっと言うと、契約型公募投資信託と言われる、私たちが販売金融機関を通じて購入しているインデックスファンド全体の純資産残高は、141兆9749億1300万円もあります。その全部が個人によって保有されているわけではありませんが、このあまりにも大きな差を見ると、個人のETF人気はかなり低いものと考えられます。

個人の間でETFの人気がない原因は、かつてETFが優位としていたコストの低さに、インデックスファンドが追い付いてしまったからです。インデックスファンドの信託報酬率は、もちろん個別ファンドによって異なりますが、年0.1%を割り込むものも少なくありません。

また、「ETFはザラ場でいつでも売買できる」、「信用取引でレバレッジを掛けられる」といった点をメリットに挙げる声もありましたが、いずれも短期トレードを志向している人たち向けのメリットであり、資産形成を前提にインデックスファンドでの運用を検討している人たちからすれば、いささか的外れの感があります。

確かにここ数年、「オール・カントリー」、「S&P500」を中心にして、個人の間でかなりインデックス運用が普及したとはいえ、上記の理由から、個人が敢えてETFを選ぶ理由がなくなってしまったのです。