サブコン大手、関東・関西でも高シェア 新社名は「クラフティア」

九電工は電気を中心とした総合設備工事企業です。1944年に九州の電気工事関連会社14社が統合して誕生しました。九州電力の持分法適用会社ですが、同社向けの売り上げは全体の10%程度です。また、関東や関西のシェアも30%を超えており、売り上げは電力会社グループのサブコン(※)としては業界3位の座を占めています(下表参照)。

※サブコン…電気や空調など、専門的な工事を行う建設会社の総称

【主な電気設備工事企業の売上高(2025年3月期)】

・きんでん:7051億円
・関電工:6719億円
・九電工:4740億円
・トーエネック:2710億円
・ユアテック:2572億円
・中電工:2219億円

出所:各社の決算短信

電気工事は大きく配電事業と電気事業に分かれます。九電工の配電事業は、九州電力および全国の再生可能エネルギー発電所からの架空線・地中線の工事や保守などを行う部門です。電気事業は、主に商業ビルやオフィスビルなどで電気設備サービスの全般を請け負います。

手掛ける工事は電気設備だけではありません。空調や給排水設備のほか、通信インフラの構築も担います。また、太陽光といった再生可能エネルギー発電所の建設や維持なども事業範囲です。九電工は、国内最大級のメガソーラー発電所を宇久島(長崎県佐世保市)に建設中で、27年3月の完成を目指しています。

【九電工の設備工事業の部門別売上高(2025年3月期)】

・配電線:514億円
・電気:2003億円
・空調衛生:1649億円
・太陽光:378億円

出所:九電工 決算説明会資料

さらに、工事以外の事業も展開します。工事に関連する材料や機器の販売や、不動産事業や人材派遣、再生可能エネルギー発電事業などを手掛けます。

このように、九電工の事業エリアは九州にとどまらず、事業内容も電気工事にとどまりません。事業展開と社名が合わなくなってきたことから、社名を「クラフティア」へ変更すると発表しました。新社名は、九州および九電工の「K」と、技術などを意味する「クラフト」、そしてイノベーションの「I」とアクションの「A」に由来します。社名の変更は、25年10月に実施される予定です。