株主総会の争点は? 取締役の選任で現経営陣と投資ファンドが対立

フジ・メディア・ホールディングスを巡っては、6月25日に開催される株主総会が注目を集めています。会社側(現在の取締役会)と投資ファンドで意見が対立しており、「プロキシーファイト(議決権の争奪戦)」の様相を呈しているためです。

今回の株主総会の主な争点は取締役の選任です。取締役会は株式会社を直接的に経営する組織で、そのメンバーは株主総会を通じて選出されます。取締役の選任は、会社側が候補を提示し、株主総会が追認することで決められることが一般的です。しかし、今回は投資ファンドのダルトン・インベストメンツが別の候補を提案し、議題に盛り込まれることとなりました。

ダルトンは、SBIホールディングスの北尾氏など12名を推薦しています。会社側は、この提案に反対し、独自に11名を提案します。ダルトンの保有比率は関連ファンドを含め7.19%(25年1月)であることから、採決の行方はその他の株主が握っています。ダルトンは株主宛ての書簡を公表し、自らの案への賛同を呼びかけました。

議決権行使の助言会社も判断が揺れています。米ISS(インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ)は会社案を全面的に支持する一方、米グラスルイスは会社案のうち9名およびダルトン案のうち5名を推奨する立場を表明しました。ダルトンはISSに、会社側はグラスルイスにそれぞれ反論を公表しています。

会社側とダルトンは、どちらもフジ・メディア・ホールディングスの再建を目指す立場です。両者の意見には共通する部分もありますが、ダルトンは不動産事業の切り離しにも言及するなど、立て直しの方向性には異なる部分もあります。

どちらの再建案がフジ・メディア・ホールディングスの価値をより引き上げるのでしょうか。株主は判断を迫られています。

文/若山卓也(わかやまFPサービス)