◆価格変動リスクを抑えたファンドが人気
広島銀行の4月の売れ筋ランキングにランクインした「ピクテ・ゴールデン・リスクプレミアム・ファンド『ポラリス』」は世界のさまざまな資産クラスに分散投資するバランス型ファンドだが、金(ゴールド)を大胆に活用して資産配分することで知られる。2021年から2022年ごろまでは金への投資比率が全体の資産の半分程度になっていた。2025年4月末時点では「株式」29.7%、「債券」34.3%、「金」30.8%とおおむね3等分で持つようなポートフォリオになっているが、一般的なバランス型のファンドと比較すると「金」への投資比率が圧倒的に大きいことに変わりはない。また、金への投資比率が50%程度だった時には、投資比率がゼロ%だった「債券」の組み入れ比率が30%を超えてきたのも近年の特徴だ。リスクを抑えてしっかり収益を得ることを意識した運用をしている。
「ポラリス」の基準価額の推移をみると、緩やかな右肩上がりになっている。「S&P500」インデックスファンドの基準価額が上下に大きくぶれていることと比較すると「ポラリス」の安定感は大きい。2020年6月の設定来、2025年4月末までの設定来の約5年間のリターンは年率12.26%になっている。過去1年間では3.36%とややパフォーマンスの水準は落ちてはいるものの、中長期で年率2ケタのリターンをあげていることが改めて評価されたのだろう。
また、「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型)」は、主に世界の電力・ガス・水道・電話・通信・運輸・廃棄物処理・石油供給など日常生活に不可欠な公益サービスを提供している企業に投資するファンドだ。景気の良しあしに関係なく安定的な収益が期待できる企業群であり、それら投資先の特性を踏まえて毎月分配も実施している。現在も1万口あたり20円の分配を行っている。「ポラリス」と違って投資対象が「株式」に特化しているだけに、価格変動率はやや大きくなるが、株式インデックスファンドなどと比較すると緩やかな価格変動になっている。2005年2月の設定から約20年の年率リターンは6.08%。2025年4月末時点の過去1年間のリターンは11.48%になっている。
このような安定志向のファンドに改めて注目が集まってきているのは、4月以降の株式市場の不安定な値動きのためといえる。引き続き株式市場が不安定な値動きになると見通されているだけに、株式インデックス以外のファンドへの注目が続きそうだ。
執筆/ライター・記者 徳永 浩