株式投資を通じて企業を見る目を養うのは手段の1つ―何よりも投資すべきものは「自分」
最後にもうひとつ、皆さんが投資するべきことがあります。
それは自分自身です。
皆さんはこれから企業で働いて、一定の収入を得ます。見方を変えると、自分自身が定期的なキャッシュフローを生み出す金融商品のようなものと考えることもできます。
たとえば年収が400万円だとしましょう。現在の長期金利は1.5%前後ですから、その利回りで年400万円のキャッシュフローが得られる元本はいくらになるのかを計算します。計算式は、
年間のキャッシュフロー÷利回り
ですから、400万円÷1.5%=2億6666万円
になります。これは皆さん自身が現在、400万円というキャッシュフローを生み出す金融商品として、2億6666万円の元本に相当する価値があると考えることもできます。別な言い方をすれば、皆さんの金融商品的価値とでもなるでしょうか。
ただ、1.5%は日本で最も信用力の高い日本国債の利回りなので、それと匹敵できるほどの信用力を、社会に出たばかりの皆さんは持ち合わせていません。なので、リスクプレミアムとして0.5%を乗せた2%で計算すると、
400万円÷2%=2億円
となります。リスクプレミアムが乗せられた分だけ、皆さんの資産価値は目減りすることになります。
もし、同じ2%の利回りで、年間のキャッシュフローが600万円になったとしたら、皆さんの資産価値は3億円になります。何らかの努力であなたの資産価値を4億円に引き上げられれば、同じ2%の利回りで得られるキャッシュフローは、800万円になります。
皆さん自身が保有しているさまざまなアセットで、最も高い資産価値を持っているのは、皆さん自身です。
したがって、これからの社会人生活を豊かなものにするためには、皆さん自身の資産価値を高めることが、何よりも肝心になってきます。
そして、企業を見る目を養うという意味で、株式投資は皆さん自身の資産価値を高めるきっかけにもなるはずです。