◆インデックスファンドは景気鈍化の影響を受けやすい?

三井住友銀行の取扱商品の中では売れ筋ランキング第2位の「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)<世界のベスト>」以外は、株式インデックスファンドの人気が強い。インデックスファンドは、運用コスト(信託報酬等)が低く、毎月一定額を積立投資していく長期の投資手段として優れた性格を持っているため、その人気は簡単には衰えないと考えられる。その中にあって、前月取り扱いが始まった「フィデリティ・世界割安成長株投信Bコース(為替ヘッジなし)<テンバガー・ハンター>」が第7位とトップ10圏内にとどまり、第8位にはNISA成長投資枠の対象銘柄である「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(年1回決算型)<世界のベスト>」がトップ10圏外から浮上してきた。

主なインデックスファンドは時価総額加重平均でポートフォリオを組んでいるため、投資対象エリアの大型株から組み入れている。しかも、市場全体の動きを反映するために数百から2000銘柄を超えるほどに多くの銘柄に投資する仕組みになっている。インフレを抑制するために急速な利上げを行い、その結果として経済成長が鈍化してきている欧米の先進国をはじめ、欧米の景気鈍化の影響を受けやすい新興国も当面の経済成長を慎重に見ていくことが必要になっている。経済成長が鈍化すれば、当然、数百もの銘柄に投資しているインデックスファンドの組み入れ銘柄の中に業績が悪化する企業も出てこよう。今年2月以降に米国「S&P500」などのインデックスが軟化しているのは、景気減速を見通した企業業績の悪化を織り込み始めた動きといえる。

◆「世界のベスト」と「テンバガー・ハンター」に存在感

インデックスファンドに対し、アクティブファンドは投資対象銘柄数を厳選している。たとえば、「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)<世界のベスト>」の組み入れ銘柄数は44銘柄(2025年1月末時点)で、先進国株式インデックスの1200銘柄以上という銘柄数よりも圧倒的に少ない。「フィデリティ・世界割安成長株投信Bコース(為替ヘッジなし)<テンバガー・ハンター>」の組み入れ銘柄も564銘柄とインデックスの2分の1以下だ。これは、アクティブファンドは投資対象となる銘柄群の中から魅力的と判断される銘柄だけに投資するためだ。この結果、「テンバガー・ハンター」では、先進国株式インデックス「MSCIワールド・インデックス」と比較すると、ポートフォリオの予想PER(株価収益率)はインデックスの19.8倍に対して11.8倍、PBR(純資産倍率)も3.7倍に対して1.8倍となり、割安なポートフォリオを作ることができている。

この結果、2025年1月のパフォーマンスは先進国株式インデックスが0.20%とほぼ横ばいのところ、「テンバガー・ハンター」は1.29%、「世界のベスト」も1.06%となってインデックスを上回っている。たかだか1カ月間の動きで良しあしを判断できるものではないが、これが大きな流れの転換点であるかもしれない。10年以上にわたって続いてきたトレンドが変化する場合は、それに匹敵する期間の逆流が起きても不思議ではない。

長期の積立投資はインデックスファンドで継続するものの、そこ一辺倒になることなくアクティブファンドも含めたその他の投資対象についても、その動向に注目していきたいところだ。

執筆/ライター・記者 徳永 浩