三菱UFJ銀行の投信売れ筋ランキングの2025年2月は、前月第2位だった「eMAXIS 日経225インデックス」がトップに立った。第2位には前月の第7位から「MUFG ウェルス・インサイト・ファンド(標準型)」がジャンプアップ。第3位には「eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)」が上がり、前月トップだった「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は第4位に後退した。国内株ファンドやバランス型が順位を上げ、外国株式インデックスファンドの人気が後退している。

 

◆株安と円高のリスクに備える意識が高まる?

三菱UFJ銀行の売れ筋ランキングで「日経平均株価(日経225)」のインデックスファンドが第1位、第3位に入り、グローバルバランスファンドの「MUFG MUFG ウェルス・インサイト・ファンド(標準型)」が第2位になった。この3ファンドは、前月トップだった「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」を追い抜いて上位にランクされた。この動きの背景にあるのは、「リスク管理」の強化だろう。2025年になって特に為替市場で円高方向への動きが出始めたため、海外資産への投資は為替リスクを意識せざるを得なくなっている。加えて、2月になって米国ハイテク株の動きが不安定になっているため、「S&P500」や「FANG+」など、これまで人気の中心だった米国株インデックスファンドへの投資に対して慎重になるところだろう。

為替相場は、1月末に1ドル=154円台だったドル円が2月末には149円台まで円高が進んだ。今後も日銀は政策金利の引き上げを志向し、米FRBはインフレの落ち着きから政策金利の引き下げに動いているところだ。この日米の金融政策の方向の違いはドル円を円高方向に引っ張る力になるだろう。ここに割高の指摘があった米国株に下押し圧力が加われば、米国株式ファンドには株価と為替で二重にパフォーマンスを押し下げる力が加わることになる。2020年3月のコロナ・ショック以降、米国株は株高と円安の進行によって二重にパフォーマンスを押し上げてきたが、その効果が逆転する可能性がある。

「日経225」連動型の国内株インデックスが人気の上位に上がってきたのは、為替の円高リスクを回避するというリスク回避の発想が含まれているだろう。また、「MUFG ウェルス・インサイト・ファンド(標準型)」のように国内外の株式、債券、リート、コモディティなどさまざまな資産に分散投資し、一定のリスク水準(標準型は年率10%程度)に抑えた運用をしてくれるファンドが人気化する背景にも、従来に増してリスク管理が重要との意識が高まってきているためと考えられる。