中国の人口減により、インドには「世界の工場」の座が
さらに、これが大きな問題ですが、世界最大の人口を誇ってきた中国が、一人っ子政策の影響により、いよいよ高齢化・人口減少社会の問題が深刻化しています。相変わらず14億人の人口を擁しているとはいえ、中国の総人口は2022年以降、2024年まで3年連続で減少しています。人口増と世界一の人口を背景にして成長してきた中国経済にとって人口減少は、成長の歯車を逆転させる恐れにつながります。そして人口世界一の座も、2023年の中盤からは、インドに明け渡しました。
世界一の人口大国の座が、中国からインドにシフトしたことによって、インドが中国に代わる世界の工場としての役割が期待されています。
たとえば自動車分野において、インドは世界第3位の自動車市場(自動車販売台数)を持っており、急速な成長を遂げていますし、鉄鋼では世界第2位の生産国です。また製薬分野においては、世界的なジェネリック薬品会社20社のうち8社が、インド企業です。
またインド経済を支える人口増加は、まだ当面の間は続く見通しです。国連の「世界人口推計2024年版」によると、インドの人口増加は2061年まで続き、その時点の総人口は約17億128万3707人とされています。その一方で、中国の人口は減少をたどり、2061年には11億2117万4717人になってしまいます。将来的には世界の工場だけでなく、世界最大のマーケットという座も、中国はインドに譲らねばならない状況に直面するのです。