実は会社員の多くはリタイア後に2000万円超の資産を得ている?

2019年に大騒ぎとなった「老後に2000万円」ですが、金融庁のレポートでは実際の高齢者夫婦は2000万円以上の資産を保有していることもあわせて示されています。

「50歳だけど、そんなお金どこにもないよ?」と不思議に思うかもしれませんが、実際、50歳代の働く世帯にそれほど高額の資産があるわけでもありません。

現役時代には資産があまりなくても、年金生活者の資産が多くなる理由のひとつに「退職金」の存在があります。退職金は未受け取りのあいだは「ゼロ円の資産」ですが、定年退職時にいきなりドカンと振り込まれます。

会社と個人の働き方にもよりますが、東京都の中小企業を対象とした調査ではモデル退職金が1150万円(大卒)、経団連の調査では2243万円というデータがあります。

ボーナス何回分、それどころか年収以上のまとまったお金が、定年退職時に入金される「かもしれない」のです。

8割が知らない? 退職金・企業年金制度を知ろう

あえて「かもしれない」と言いました。なぜなら、ほとんどの読者がそうであるように「退職金? いくらもらえるか知らないなあ。っていうか本当にもらえるの?」という人が多いからです。

多くの会社員は、現役時代にその金額水準を把握していません。「老後に2000万円」で話題となった金融庁レポートに紹介された統計データでは、年金生活に入った人たちの約8割は、「定年1年前以降に金額を知った、覚えていない」と回答をしており、若いうちから退職金額を把握していた人は2割程度でしかありません。

銀行に1000万円残高があるか、1500万円か、チェックしていない人はいません。ところが、退職金については1000万円以上だったとしても、ほとんどの会社員が無関心なのです。

まず、退職金制度の有無をチェックしましょう。退職金制度がそもそもない会社もあるからです。もしある場合は、新卒入社して定年退職した場合どれくらいのモデル額なのかを調べます。多くの会社ではモデル退職金額を開示しているはずです。

次に、年金受け取りが可能である企業年金制度の有無をチェックします。退職金の一部を企業年金化している場合、すべてを企業年金化し、そこから一時金受け取りできる場合などがあります。企業型の確定拠出年金は、企業年金制度の一種です。

ちなみに、企業年金化されている場合、その積立金は退職者のためにだけ用いられることが確定しています。資産は外部保全され、退職者への給付にのみ使える仕組みだからです。会社が運営が苦しくて取り崩すようなこともありません。

同様に、企業型の確定拠出年金、中小企業退職金共済制度も、会社がお金を使ってしまう心配がない制度です。これらの制度がある場合「会社がつぶれたらもらえない」という心配がないのです。