三菱アセット・ブレインズが発表する「投信マーケット概況」で「外国株式型」に分類されるファンドの2025年1月の月次資金流入額トップは前月に続いて「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」だったが資金流入額が前月の2005億円から4050億円に倍増した。第2位も前月と同じ「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」だったが、こちらも資金流入額が1820億円から3758億円になった。また、前月の第6位から第3位にジャンプアップした「iFreeNEXT FANG+インデックス」も資金流入額が422億円から1097億円へと急増した。ただ、資金流入額が大きな資金で急拡大した銘柄はインデックスファンドに限られ、たとえば、流入額で第4位の「アライアンスB・米国成長株投信D」は前月の流入額1239億円が1054億円に減少。第6位になった「インベスコ 世界厳選株式オープン(ヘッジなし・毎月決算型)」も806億円から546億円になっている。

 

◆勢いがついたインデックスファンドの行方は?

資金流入額ランキングで上位にランクインしているインデックスファンドは、NISAの枠が更新されたことで、つみたて投資枠で年間120万円、成長投資枠で年間240万円の枠が改めて使えるようになったために、非課税投資枠を使い切ってしまった投資家が昨年末までは買いたくても買えなかった注文をまとめて出したためと考えられる。たとえば、米国「S&P500」は2024年の1年間で23.31%(現地通貨ベース)値上がりしている。2023年の24.23%に続いて2年連続で20%超の値上がりだ。さらに、為替が円安方向に動いたため、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の1年間のパフォーマンスは40.8%になった。しかも、年末高だったことから2024年は少しでも多く買っておきたかったというのが投資家の変わらない思いだっただろう。

同様に「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の2024年の1年間の上昇率も32.5%だった。組み入れ比率66%の米国株式が年末に向けて上昇したため、「オルカン」もまた年末高だった。そして、「iFreeNEXT FANG+インデックス」は1年間で70.8%も上昇した実績だったため、可能であれば買い足したいと考えた投資家は多くいただろう。

もちろん、インデックスファンドは市場環境によっては値下がりするリスクもある。加えて2024年は円安による収益の上乗せ分もあったが、日銀が利上げ姿勢を強めている2025年は2024年ほどに一方的といえる円安にはならないだろう。NISAの成長投資枠を使っての投資は、先行きの見通しが悪くなれば、売却してしまえばよい。年初に購入しておけば1年間という期間を使って柔軟に撤退のタイミングをはかることができるという考えなのだろう。ただ、すべてのインデックス投資家が報われた2024年に比べて、2025年は1月に対して2月は弱い。今後、インデックスファンドへの資金流入への勢いが続くものか注目したい。