ゆうちょ銀行・郵便局の売れ筋の2025年1月のトップは「iFree S&P500インデックス」で、昨年5月以来1位を継続している。第2位以下は「つみたて先進国株式」、「大和 ストック インデックス225ファンド」、「つみたて全世界株式」で第4位まで11月と同じだった。ただ、9月には第4位だった「つみたて日本株式(TOPIX)」は1月は順位を落として第9位に後退した。また、「野村世界6資産分散投信(成長コース)」が第8位から第5位にジャンプアップした。第10位から第8位に浮上した「JP4資産バランスファンド 成長コース」も含めて、バランス型ファンドも積極的に収益を狙うファンドがランクを上げている。

 

 ◆代表的な株式インデックスファンドが上位独占

ゆうちょ銀行・郵便局の売れ筋ファンドランキングの上位には、代表的な株式インデックスファンド4本が並んでいる。その順位は、米国「S&P500」に連動する「iFree S&P500インデックス」をトップに、日本を除く先進国株式インデックス(MSCIコクサイ・インデックス)に連動する「つみたて先進国株式」、国内株式の日経平均株価に連動する「大和 ストック インデックス225ファンド」、そして、新興国を含む全世界の株式インデックス(MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス)に連動する「つみたて全世界株式」になっている。

これらのファンドを、過去1年間のトータルリターンで並べると、「iFree S&P500インデックス」の30.24%、「つみたて先進国株式」の27.04%、「つみたて全世界株式」の25.29%、「大和 ストック インデックス225ファンド」の10.29%という順番になっている。国内株式インデックスのみが、パフォーマンスと比較すると高く評価されているようだが、これは「国内資産バイアス」といわれるもので、どこの国でも国内資産を実力以上に高く評価する傾向がある。あるいは、国内株式インデックス以外は全て海外株式インデックスであることから、将来の為替変動のリスク(円高リスク)を考えて、国内株式インデックスの人気が支えられたのかもしれない。

インデックスファンドが売れ筋として人気を集めている中で「TOPIX(東証株価指数)」連動のインデックスファンドが売れ筋順位を下げている。これは現在、「TOPIX」自体に見直しが進んでいるためと考えられる。昨年6月に示された「見直しの第2段階」の内容によって、次期TOPIXはプライム・スタンダード・グロースの全市場を対象とし、年1回の定期見直しがあること、また、見直しにあたっては「年間売買代金回転率(0.2以上)」と「浮動株時価総額累積比率(上位96%以内)」が適用されることが明らかになった。そもそも「TOPIX」は東証1部上場全銘柄を対象とした株価指数だったが、まずは、2100銘柄以上の構成銘柄の中から流通株式時価総額が100億円以上という条件に満たない439銘柄が2025年1月末に除外された。

昨年6月に発表された流動性基準を適用すると、「TOPIX」の新たな構成銘柄数は約1200銘柄になるという。初回の定期入れ替えは2026年10月に実施され、その後、四半期ごとに構成銘柄が減少し、2028年7月の入れ替えで新しい基準を満たす銘柄のみで指数が構成されるようになる。2028年10月から年1回の定期見直しがスタートする計画だ。そもそも東証1部があった時には2300銘柄程度で構成されていた「TOPIX」が最終的には1200銘柄程度まで銘柄数が半減するという大改革だ。新しい指数になるまでは「TOPIX」には手を出したくないという投資家も少なくないだろう。

見直しが完了した後の「TOPIX」はこれまでになく魅力的な指数になるという指摘がある。これまでは、東証1部に上場していさえすれば指数構成銘柄になり、入れ替えの心配もなかった。このため成長の期待が持てないような企業も指数の中に残り続け、指数のパフォーマンスが悪い要因の1つになっていた。しかし、今後は市場の評価が低い企業は構成銘柄から外されることになるため、新「TOPIX」は魅力的な投資対象に生まれ変わるといわれている。しばらくは、新「TOPIX」の「生みの苦しみ」の時期というところだろうか。