初の中計を公表、純利益1600億円を計画 海上コンテナへ積極投資

最後に中長期的な計画を押さえておきましょう。三菱HCキャピタルは2023年5月、日立キャピタルと統合して初の中期経営計画を公表しました。2031年度までの3段階の計画で、現在は2026年3月期を最終とする一次中期経営計画(2025中計)に取り組んでいます。

2025中計では純利益を1600億円まで引き上げます。2024年3月期の実績(1238億円)から29%増加させる計画です。さらにROA(自己資本利益率)とROE(総資産利益率)を指標とし、収益性の向上にも取り組みます。また配当性向は40%以上を目指すことが明かされました。

【中期経営計画の主な財務目標(~2026年3月期)】

・純利益:1600億円(1238億円)
・ROA:1.5%程度(1.1%)
・ROE:10%程度(7.7%)
・配当性向:40%以上(42.9%)

※()は2024年3月期の実績

出所:三菱HCキャピタル 中期経営計画

収益性を向上させる具体的な施策の1つが事業ポートフォリオの入れ替えです。

三菱HCキャピタルは、これまでもポートフォリオの入れ替えを進めてきました。近年の主要案件で売却は1兆円、投資は1.3兆円に上ると同社は説明します。売却案件の合計ROA(総資産利益率)は0.9%、投資案件は同1.7%だったことから、採算性は向上しているようです。

【主な売却案件】

・MMCダイヤモンドファイナンス(約2600億円、2018年)
・ディー・エフ・エル・リース、首都圏リース(約2200億円、2024年)
・ダイヤモンドアセットファイナンス(約2100億円、2023年)

※()の金額は連結除外影響額

【主な投資案件】

・米CAI(4600億円、2021年)
・米ジャクソン・スクエア・アビエーション(約2900億円、2013年)
・アイルランド エンジン・リース・ファイナンス(約1700億円、2014年)

※()の金額は連結化影響額

出所:三菱HCキャピタル 個人投資家向け説明会資料

足元では海上コンテナへの投資を強化しています。投資額は2025年3月期で2000億円と、直近2期の実績(300億~400億円)を大きく上回る計画です。三菱HCキャピタルによると、2000億円の投資は業界で2024年の最大規模です。また翌2026年3月期も1000億円規模の発注を計画していることを明かしています。

三菱HCキャピタルは、中東情勢の緊張や海上貿易の堅調な推移などから、海上コンテナの需要がひっ迫すると見込みます。投資が奏功すれば、さらに安定的な収益基盤へ成長することが期待されます。

文/若山卓也(わかやまFPサービス)