「ブラックマンデー超え」のショックを和らげる国際分散投資
新NISA1年目にあたる2024年は、結果的にほぼ順風満帆だったと感じています。8月には「ブラックマンデー超え」ともいわれた日経平均の急落がありましたが、投資の基本である国際分散投資を行っていれば、この急落は主に日本株市場に限定されたものでした。
米国をはじめとする先進諸国の市場は堅調だったため、保有資産全体に大きな影響を与えるような下落には至らなかったと考えます。
また、NISA口座数は2024年9月末時点で2500万口座を超え、非課税制度の有用性が広く投資家に認知されてきたように感じられます。さらに、新NISAの開始を契機に、インデックスファンドのコスト競争が促進され、低コストでの運用がますます可能になりました。
加えて、クレジットカードによる投信積立の上限金額が月5万円から月10万円に引き上げられるなど、個人投資家にとって投資環境が大きく改善された1年でもあったと思います。
自分の投資法に合わせてNISA制度を上手に活用
私が実践しているインデックス投資では、所定の資産配分でインデックスファンドを積み立てて「バイ&ホールド」するのが基本です。そのため、投資の1年目と2年目で方法を変える必要がある、という前提は当てはまりません。
また、新NISAのつみたて投資枠と成長投資枠についても、同じ商品を活用すれば十分だと考えます。NISA制度に投資法を合わせるのではなく、自分の投資法を確立し、利用可能な制度があればそれを活用するというスタンスが最適だと思います。
さらに、「初心者にはインデックス投資、中上級者にはアクティブ投資」という考え方も、金融機関が作り出したフィクションに過ぎないと私は思います。投資のプロである年金基金などの機関投資家が、どのような運用方法で成果を上げているのかを調べてみるとよいでしょう。
たとえば、日本の公的年金を運用する世界最大級の機関投資家である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の例があります。GPIFは運用資金の80%以上を、所定の資産配分に基づくパッシブ運用(=インデックス投資)で運用しています。運用方針や状況は公開されており、新NISAで投資を始めた個人投資家にとって学ぶべき点が多いといえます。