売上・利益ともに過去最高 今期は低進捗も予想は据え置き

次に業績を解説します。三井不動産は順調に事業を拡大しており、売り上げと利益はおおむね右肩上がりに増加しています。

直近10期はすべて増収でした。利益も2021年3月期を除き、いずれも増益です。直近の2024年3月期で売上高と各段階利益は過去最高を更新しました。過去最高の更新は売上高が12期連続、各段階利益は2期連続です。

なお、2021年3月期の減益は新型コロナウイルスの影響が主因です。商業施設やホテルの休館や稼働率の低下などが響きました。純利益の減少は、新型コロナウイルス関連の損失と土地や建物などの減損を特別損失に計上したことも影響しています。

出所:三井不動産 有価証券報告書より著者作成
 

今期(2025年3月期)の見通しも押さえましょう。三井不動産は今期から新たな利益指標として「事業利益」を開示しています。

事業利益とは企業の全体的な利益を指します。三井不動産の定義は、営業利益に持分法投資損益と固定資産売却損益を加算したものです。経常利益から見れば金融損益などの控除前、純利益から見ればさらに税費用などの控除前の利益と考えられます。

売上高は今期も伸長する見込みです。達成できれば過去最高を13期連続で更新します。利益は、経常利益を除いて増益の予想です。

経常利益の減益予想は、営業利益が前期並みにとどまる中、金利負担の増加を見込むためです。なお、税費用の増加も見込みますが、純利益は増益の予想です。このことから、費用を上回る特別利益の計上を計画していることが読み取れます。

【三井不動産の業績予想(2025年3月期)】

・売上高:2兆6000億円(+9.1%)
・営業利益:3400億円(+0.1%)
・事業利益:3700億円(+6.9%)
・経常利益:2600億円(-2.9%)
・純利益:2350億円(+4.6%)
※()は前期比
※同第2四半期時点における同社の予想

出所:三井不動産 決算短信

今期は中間まで決算を公表しています。進捗率は売上高が45%、事業利益が47%、純利益が38%です。消化ペースは低調ですが、業績予想は据え置かれました。下期の取り組みが期待されます。