(3)世界の株式市場で小型株効果が消滅

第2回でお話ししましたが、株式市場では、時価総額が小さい小型株は大型株よりもリターンが高くなりやすく、小型株効果と呼ばれています。

小型株は主要市場指数の対象から外れることもあり市場での注目度が低く、株価が割安に放置されやすいこと、また今後高い成長率が期待できる新興企業が多いことなどが小型株効果が生じる主な理由と考えられています。こうした条件は容易に変わるとは考えにくく、小型株効果は長期にわたって存在するものと考えられていました。

ところが図2が示すようにGAFAMが市場を牽引してきた近年では世界の株式市場で小型株効果が見られなくなっています。小型株への投資の自由度を有し、小型株の銘柄選択で付加価値をあげるアクティブFにとっては大きな逆風となっています。GAFAMが超大型株でありリターンが突出しているという理由も大きいですが、世界的なインデックスF人気によって、指数に採用されている大型株および中型株に新規資金による買いが集まり、小型株が買われないことも理由と考えられます。言い換えればインデックスF自身の買いで、指数のリターンつまりインデックスFのリターンが押し上げられている面もあるのではないでしょうか。

 

 

市場環境が正常化すればアクティブFの活躍も期待

前述の株式市場環境における3つの要素は、今後どのように変わる可能性があり、それがアクティブFにどんな影響を与えるのでしょうか?

(1)の株式市場の上昇はどこまで続くかはわかりません。しかしいつかは調整局面に入り、株価は横ばいもしくは下落傾向を辿ることもあるでしょう。その時には優れたアクティブFの下値抵抗力が効果を発揮するのではないでしょうか。

(2)の株式市場の主役もいつまでGAFAMであり続けるとは限りません。いつかは別の銘柄群にその座を開け渡すことになるでしょう。その時には主役ではなくなったGAFAMに継続して大きなウエイトで投資し続けなければならないというハンディをインデックスFが負うことになります。

(3)の小型株効果ですが、図2で示したように近年の大型株好調時を含んでも長期では年間2%程度の小型株効果は生まれており、また小型株の特性も容易には変化しないことから、今後は小型株効果が現れる局面は増えるのではないでしょうか。

つまり、(1)、(2)、(3)いずれも市場環境が変化し、より長期の傾向に回帰すると、アクティブFにとっての不利な状況が軽減されていくと考えられます。

 

【以上のことから導き出された結論:アクティブファンド投資の常識③】

市場環境が変化すれば、アクティブFの劣勢も挽回へ向かう可能性

市場の効率化の進行以外にも、上記のように近年の特異な市場環境がアクティブFのパフォーマンスに影響を与えていると思われます。”リーマンショック”以来15年にわたり続いている市場環境が変化する際には、アクティブFの不振も改善に向かうのではないでしょうか。

次回もアクティブF投資の常識を疑います。