SBI証券の投信売れ筋ランキングの2024年11月のトップ3は前月と同様に「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」、「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」だった。第4位に前月5位だった「iFreeNEXT FANG+インデックス」が浮上し、第8位には前月第10位だった「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信D 毎月 Hなし 予想分配」がランクアップした。これに対し、「SBI 日本株4.3ブル」は第4位から第5位に後退し、「eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)」も第8位から第9位にランクダウンするなど日本株ファンドへの評価は下がった。

 

◆米国ハイテク成長株人気が再燃

SBI証券の売れ筋ランキングは、米ハイテク成長株ファンドへの人気の復調が明瞭になってきた。前月に3カ月ぶりにトップ10に返り咲いた「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信D 毎月 Hなし 予想分配」が第8位に上昇したことが人気再燃の象徴だが、「iFreeNEXT FANG+インデックス」や「ニッセイNASDAQ100インデックスファンド」、また、「S&P500」連動型のインデックスファンドなど、米ハイテク大型株が組み入れ上位に並ぶファンドがトップ10のうち8本を占めている。残る2本は国内株ファンドだが、2本ともランクを落とす結果となっており、米ハイテク成長株への人気復調を印象付けている。

米ハイテク株人気は、2020年3月のコロナショックで下落した局面から回復する時の手掛かりとして「感染症のパンデミックで求められる非接触の経済活動」を支えるインフラとしてDX(デジタル・トランスフォーメーション)が注目され、市場回復の原動力になったことが始まりだった。その後、主役は2022年12月に登場した「ChatGPT」(生成AI)の人気沸騰から「AI(人工知能)」や「半導体」に移ったものの、この間は一貫して「マグニフィセント・セブン」と呼ばれた超大型ハイテク株が主役を務める相場が続いてきた。

もちろん、既に4年半以上にわたって続いている「ハイテク株高」であるだけに、「割高に過ぎる」という警戒感は強い。2022年のような米国政策金利が大幅に引き上げられるという局面では下落したが、翌年には前年の下落率(「S&P500」はマイナス19.44%、「NASDAQ総合」はマイナス33.10%)を上回る上昇率(同24.23%、同43.42%)となり、結果的に「S&P500」や「NASDAQ総合」は2024年に史上最高値を更新する高値に進んでいる。

株価が下落することがあっても、1年足らずの間に再び史上最高値を更新してしまうという強い値動きを2度、3度と経験するうちに、「このまま持ち続けていれば大丈夫」、あるいは、「毎月一定額を積立投資していれば、株価が下落した局面ではより多くの口数を購入できるので効率的な投資になる」という安心感につながっているのだろう。11月6日に「S&P500」や「NASDAQ総合」が史上最高値を更新し、月中にダレたものの、月末にかけて再度「S&P500」が史上最高値を付けるという値動きとなって、米ハイテク株投資への「安心感」は「確信」に高まっているのかもしれない。