◆ランクアップする「米国成長株投信」の理由

10月にトップ10に復帰し、11月にはランキングを一段と上げた「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信D 毎月 Hなし 予想分配」には、現在の投資家の「気分」がよく表れているようにみえる。米ハイテク成長株の人気が再び高まっていることは、前段で述べた通りであり、同ファンドもその流れに乗って人気化していることは間違いない。ただ、同ファンドは「S&P500」や「FANG+インデックス」などのインデックスファンドと異なり、アクティブファンドだ。インデックスファンドは基本的に時価総額の大きな銘柄で構成され、市場の大きな動きを捉える投資になっているが、アクティブファンドでは運用会社の判断で投資対象を選別している。市場の大きな流れが下落に向かうような局面でも、その下落にあらがって株価が下げにくい、あるいは、逆行高するような銘柄を選ぼうとしている。

「S&P500」のような株価指数が史上最高値を更新しているのは、既に「S&P500」を保有している投資家にとっては良いことだが、これから投資する投資家にとっては史上最高値で購入するプレッシャーになる。しかも、「S&P500」の予想PER(株価収益率)は長期的にみて17倍~18倍程度であるところ、現在では22倍程度になっている。過去PERが20倍を超える水準は1985年以降で14%程度にとどまるというデータもある。かなり行き過ぎた株価水準にあることは間違いない。「S&P500」のEPS(1株当たり利益)の成長率予想は、2025年が13.8%増益、2026年が10.6%増益と2ケタ成長が予想されているが、株価がこの水準で値上がりするとPERの水準は下がらないということになる。今後、株価が年10%以上に上昇することは難しいといえるのかもしれない。

アクティブファンドはインデックスの動きを上回るパフォーマンスをめざす。インデックスの動きに左右されない強さが期待できる。「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信D 毎月 Hなし 予想分配」が人気を集めている理由は、「米国成長株」に対する期待感と、それとは裏腹なインデックスに対する警戒感があるのではないだろうか? これは、依然としてトップ10の第6位に居座る「Tracers S&P500ゴールドプラス」の人気にも通じる動きといえる。

執筆/ライター・記者 徳永 浩