グリーンスキルが学べるオンラインスクール

グリーンスキルを学ぶ場としては、例えば、「Terra.do」などといった、気候変動対策に必要なスキルや知識を学習するためのプラットフォーム(オンラインスクール)が海外では立ち上がっています。こうしたプラットフォームに先んじてアクセスすることで、将来必要となるグリーンスキルをいち早く発見し、習得に向けて準備をすることができます。

また、顧客管理システムなどを提供する米国企業「セールスフォース」は、「Net Zero Cloud」というグリーン分野の関連データを管理できるプラットフォームの提供を開始しています。このプラットフォームでは、自社のカーボンフットプリント(製品やサービスの原材料調達から廃棄・リサイクルまでの間に排出される温室効果ガスの総量をCO2に換算したもの)を分析したり、出張などによる温室効果ガスの排出量を計測したりすることができます。すでに多くの会社で顧客管理システムなどを設計・運用するスキルを持った人材が活躍しているように、今後はこうしたプラットフォームを活用するスキルなどが重宝されるようになっていくのではないかと考えられます。

日本でも、グリーン分野のスキル習得支援に向けた動きは始まっています。2023年度から、カーボンニュートラル(温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させること)の実現に向けて産学官が協働する取り組みとして、「GXリーグ」が動き出しています。GXとは「Green Transformation」の略語で、社会システムや産業構造を化石燃料中心からクリーンエネルギー中心へと移行させる変革のことですが、この取り組みでは「GXスキル標準(GXSS)」が定められ、GXを担う人材像についても紹介されています。

また、日本では、環境省などによって、省エネ設備の導入などによる温室効果ガスの排出削減量や適切な森林管理による温室効果ガスの吸収量を「J-クレジット」として認証する制度が創設され、その運用のためのガイドラインも制定されています。

そういった仕組みを組織内で運用していくスキルも、今後はグリーンスキルとしてより一層求められていくのではないかと考えられます。

●第4回は【リスキング第一人者が提言! 早く“ノウハウを習得したもの勝ち”状態のある注目分野】です。(12月18日に配信予定)

中高年リスキリング

 


著者名 後藤 宗明

発行 朝日新聞出版

価格 990円(税込)