今、各金融機関が「NISA口座乗り換えキャンペーン」を実施しているワケ

NISAの制度見直しによって非課税期間の無期限化、制度の恒久化、そして生涯非課税枠の大幅な引き上げが行われ、某出版社が「2024年ヒット商品ベスト30」の1位に選んだ「新NISA」。実際には「新NISA & オルカン投資」とされていますが、いずれにしてもNISAの制度見直しは大いに注目を集め、多くの金融機関が「新NISA口座開設キャンペーン」を展開しました。それが2023年の秋口から2024年年明けにかけてのこと。

そして今、再びNISAの口座開設および口座移管に関するキャンペーンを大々的に展開する金融機関を目にします。が、その狙いは新規口座開設者の取り込みというよりも、どちらかというと口座移管に焦点を当てているように思えます。

NISAの口座開設は1人一金融機関と決められています。だからこそ、NISA口座を開設する際には、どの金融機関にするかを慎重に見極める必要があります。給与振り込みなどで付き合いのある金融機関に何となくNISA口座を開いて、いざ投資を始めようと思ったら、実は自分の買いたいと思っていた投資信託を扱っていなかった……なんてことも考えられます。

でも、だからといって何も手がないわけではありません。仮に、もうNISA口座で投資を始めていたとしても、それを他の金融機関に移管させることができるのです。

そして、新しいことを始めるにはキリの良い2025年1月から、移管した新しい金融機関でNISAを始めたい場合は、申請書類を処理するための期間を考えると、遅くとも2024年12月中旬くらいまでには、移管先となる金融機関で所定の手続きを済ませる必要があります。

前述したように今、口座移管に焦点を当てたキャンペーンを各金融機関が積極的に展開しているのは、こうした事情があるからです。金融機関側からすれば、2025年1月から自分のところでNISA口座を通じた投資を始めてもらうための、最後のかき入れ時といって良いかも知れません。