山の手エリア特有の相場の強さ

販売期間と値下げ回数の低下は調査対象となっている山の手エリア特有の現象なのだろうか。調査では山の手エリア(図では山手線内側と記載)と東京都23区全体との比較も実施した。グラフを見ると販売期間(上段の図)と値下げ回数(下段の図)については両地区とも低下傾向にある。より細かくみると山の手エリアはより低下傾向が顕著であることを示すグラフになっている。同エリアの中古マンション相場の強さを改めて裏付ける結果となった。

 
出所:福嶋総研 https://lit.link/fukushimasouken

人口流入が続くも「新築棟数」は減少し需給にギャップ

中古マンション相場高騰の背景には山の手エリア特有の事情がありそうだ。調査では新築マンション竣工棟数(新築棟数)に注目して、1990年以降の推移をグラフ化している。

新築棟数は1998年から比較的高い水準になり、2004年に最多を記録した。それ以降は2013年前後で一時的に増加することはあっても、基本的には減少傾向である。既に山の手エリアには多くのマンションが建てられているため、新たな開発用地の取得が困難だからだ。新築マンションの供給が限られる中で、コロナ禍収束などによる人口の流入が続いたため、需要と供給のギャップから中古マンションの成約価格が高騰している可能性がある。

出所:福嶋総研 https://lit.link/fukushimasouken