◆「S&P500」に迫る40%超のリターン、「USリート」人気は定着する?
今月に突如、第12位に急浮上した「フィデリティ・USリート・ファンドB」は、実は過去1年間のトータルリターン(2024年10月末時点)が40.61%という、「S&P500」の45.45%に匹敵するパフォーマンスになっている。過去3年(年率)では「S&P500」の21.45%に対して11.85%と大きく水をあけられている。この1年間に低迷から脱してきたところだ。一般的にリート(不動産投信)は金利上昇に弱いとされる。不動産物件を取得するにあたって実行した借り入れが大きな金額になるため、金利が高い環境では収益の圧迫要因になるためだ。
米国がインフレ退治のために政策金利(FFレート)を年5.25%~5.50%という高い水準に維持していた間は、米リート市場は頭が重い展開が続いた。それが、今年9月に0.50%の利下げを実施し、11月にさらに0.25%の利下げを行って、金融緩和方向にかじが切られた。FRBは利下げを急ぐ必要はないという意思を示しているが、インフレの再燃がなければ、来年も一段と利下げに動くことが予想されている。この米国の利下げの動きが米リート市場にとっては追い風になっている。見直され始めたリート・ファンドがフィデリティ以外のファンドの人気へも波及するものか注目していきたい。
執筆/ライター・記者 徳永 浩