満期が近い、毎月分配型、デリバティブ型はNG
まずは運用方針に関する基準を押さえましょう。運用方針の要件は主に信託契約期間、分配方針、デリバティブ取引で定められています。信託契約期間と分配方針は資産の積み上げに役立つよう、デリバティブ取引は過度なリスクテイクとならないような仕組みとなっています。
信託契約期間は、運用を終えるまでの期間です。運用終了が近い銘柄は、せっかく資金を投じても満期ですぐに返ってきてしまいます。資産形成を支援するNISAの性質に沿わないため、信託契約期間は無期限か20年以上が求められます。
同様の考え方は、毎月分配型を除外していることにも反映されていると考えられます。
毎月分配型とは、分配金の毎月の支払いを目指す投資信託のことです。分配金は運用資産から現金として投資家に払い出されるお金です。つまり、預け入れた資金が現金として投資家に返ってくるお金といえます。同じく資産形成には逆行することとなるため、毎月分配型は除外されていると考えられます。
デリバティブ取引とは、端的にいえば現物の資産以外の売買を指します。先物やオプションなどが代表的です。投資家から集めた資金以上の取引ができるため、実質的な運用額を膨らませ、相対的にリスク量を増やすことができます。このような運用を行う銘柄は、つみたて投資枠の対象外です。
ただし、ヘッジ目的でデリバティブ取引を行う銘柄は対象商品に含まれます。ヘッジ目的のデリバティブ取引は、原則としてリスク量は増えません。例えば為替ヘッジは、海外への投資に伴う為替リスクをデリバティブ取引で相殺します。
販売手数料はゼロ、信託報酬は一定以下に
次につみたて投資枠における基準のうち、コスト面を押さえましょう。コストに関しては販売手数料と信託報酬で上限が定められています。コストが一定以下の銘柄に限ることで、投資家が利益を得やすくなるような仕組みとなっています。
販売手数料はノーロードであることが求められます。ノーロードとは、どの金融機関でも販売手数料がかからないことを指します。販売手数料は、投資信託を買うときに販売会社に支払う手数料です。
販売手数料は販売会社(銀行や証券会社など)が個別に決定します。したがって、同じ銘柄でも金融機関によって販売手数料は異なります。しかしノーロードの場合、どの金融機関でも販売手数料がかかりません。
信託報酬は、投資信託の運用の対価として支払う手数料です。お金を代わりに管理・運用してもらうこと対して報酬を支払います。信託報酬は運用会社、販売会社、受託会社(信託銀行など)の3者に支払います。
つみたて投資枠の対象商品は信託報酬に上限が設けられています。インデックス型は最大0.75%、アクティブ型は最大1.5%です。
【つみたて投資枠の対象ファンドの信託報酬の上限(ETF除く)】
もっとも、実際の信託報酬はより低い傾向にあります。インデックス型のうち信託報酬の平均は国内型で0.243%、内外・海外型で0.32%です。いずれも上限の半分以下の水準です。
【つみたて投資枠対象商品の信託報酬率の平均(インデックス型、2024年10月)】
・国内型:0.24%
・内外型、海外型:0.32%