PMI、失業率…中国の景気指標は軒並み“不調”
中国国家統計局が8月31日に発表した、8月の購買担当者景気指数(PMI)は49.1で、景気判断の分かれ目になる50を下回りました。しかも、7月の同指数は49.4だったので、さらに悪化しています。また、小売売上高の前年同月比をみても、2017年11月までは10%超を維持していたのが、2024年8月は2.1%まで低下しました。明らかに個人消費は落ち込んでいます。
個人消費が落ち込んでいる原因のひとつは、不動産価格の下落と考えられます。少し古いデータになりますが、2019年の中国人民銀行の調査によると、中国の家計が保有する資産の約60%は不動産でした。これはバブル崩壊後の日本も経験したことですが、不動産価格が下落することによる「逆資産効果」によって、個人消費は冷え込みます。
さらに、中国国民にとってダイレクトに影響するのが、失業率の高さです。中国国家統計局が今年2月に発表した公報によると、2023年を通じた年間の失業率平均は、5.2%でした。加えて何よりも問題なのは、若年層の失業率が極めて高いことです。
2023年6月に国家統計局が発表した、16~24歳までの失業率は21.3%でした。この数字がことのほか反響を集めてしまい、国家統計局は調査方法を修正するという理由で、しばらく公表を差し控えることになりました。
そして2024年1月から公表が再開されたのですが、2024年7月の数字は17.1%となり、6月の13.2%から悪化しています。失業率が高まれば、節約志向になり、個人消費は落ち込まざるを得ません。資生堂やファーストリテイリング、さらに欧州のハイブランドなど、消費者相手の商売が落ち込むのは、当然のことなのです。