8月の株価下落に際して、確定拠出年金(DC)コールセンターにはいつにも増して加入者からの電話が入っていました。どんな問い合わせが多かったのかというと、「ご自身の保有資産と残高を知りたい」というものです。

残高の問い合わせが多い理由

残高通知は、年1回以上発行することが法定化されていますが、レコードキーパー※が書類を作成して郵送という作業を経るため、加入者の手元に届くのは作成から1カ月近く時間が経ってからとなります。加入者専用のWEBサイトには、日々の基準価額が反映されていますが、DC口座番号やパスワードが分からなければ、アクセスができません。そこで市場が大きく動いた場合など、現時点の残高を確認したい加入者からコールセンターに問い合わせが入ることになります。

残高を確認した加入者の方は、次に「このまま投資信託を持っていていいのでしょうか?」と質問されます。DCの運営管理機関には投資アドバイスが禁止されているため「いい」「悪い」という回答はできませんが、質問された方の年齢やリスクの捉え方から現状を再確認いただけるような情報を提供します。

例えば30代であれば、「受け取りまで時間があるので、積立投資なら値段が高い時には少なく、安い時には多く購入できるメリットがあります」。50代後半であれば、「年代が上がっていくにしたがって株式割合を減らすなど、リスクを抑えた運用に変えていくことが一般的です」といった具合です。

「コールセンター」というと、クレーム対応や注文受付のイメージがありますが、DCコールセンターの場合はさまざまな疑問や相談にも応じているわけです。

※加入者の情報を包括的に管理している企業。日本のDCの場合は4社に集約されている