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7月31日の日本銀行金融政策決定会合から、混乱波乱の1か月が過ぎました。日本の株式市場はなぜ下がっているのか。よく、日銀が利上げしたからだと言われます。今週はこの点をさらに分解し、この1か月の流れの本質的な力学を現場のプロ目線から皆さんに紹介してみたいと思います。

 

まず、穴が空くほど見ていただきたいのが、日経平均株価の動きです。8月初旬にかけて落ち込み、そこから戻ってくるのですが、今週は下がった。

 

日経平均株価と似たような動きになっているのがドル円です。円高が進んだことが日系平均株価の要因の一つとされます。私自身、間違いないと思っています。しかし、ドル円の動きを見ると、日経平均株価よりも激しく下落し、戻りは鈍いまま、1か月推移しているのです。

 

もう一つ日経平均の動きを説明するときによく使われるのが、S&P500、つまり、アメリカ株の動きです。

ここからは、「今日の日経平均株価は昨日のアメリカ株の動きによって作られている」要するに、昨日アメリカ株が上がり、円安が進んだ。すると今日は日経平均が上がるはずだ。という仮説のもと、日経平均株価の動きを見ていきましょう。

この仮説に基づき、日経平均株価を説明するために、数字を全て作り替えたグラフを作成しました。日経平均株価は7月31日をスタートにしています。対して、アメリカ株とドル円は7月30日がスタートです。

 

つまりは、前日のアメリカ株、ドル円の数字を受けて日経平均株価が動いていると仮定したグラフということになります。

このデータの内容を重回帰分析し、日経平均株価はドル円のパワーを強く受けていたのか、あるいはS&P500のパワーを強く受けていたのかを集計すると、次のようなグラフになりました。

 

上が推計値から作られる日経平均株価で、下が現実の日経平均株価です。よく似た動きをしています。ただ、8月5日を見ると、イレギュラーな動きが出ていますね。

さて、この1か月間、ドル円とS&P500どちらが日経平均株価に強い影響力を持っていたのか。よく、アメリカ株に連れ安していたのではないかという説もありましたが、日経平均株価に最も影響力を持っていたのはドル円だとわかります。

具体的には、S&P500が1%動くと日経平均は0.3%動いたのに対し、ドル円1%動くと日経平均は1%動いています。つまり、この1か月の動きは明らかに円高が大きな影響を与えていたと思われます。