iDeCoと国民年金の受け取り方法を考えよう

佐藤さんがiDeCoを60歳のときに一時金として受け取った場合は約902万円。年金として受け取る場合には、5年間で毎年約180万円、10年間で毎年約92万円、15年間で毎年約63万円、20年間で毎年約47万円です。

ただし、国民年金は原則として65歳からの支給となっています。つまり、iDeCoの受け取り開始時期と国民年金の受け取り開始時期が5年間ずれてしまうことになります。

最近では、定年退職の年齢も引き上げ傾向にあり、65歳や70歳となっている企業も少なくありません。佐藤さんは自営業ですが、もし60歳の時点でまとまったお金が必要でないなら、iDeCoは年金で受け取り、年齢を重ねたときに収入が得られるようにしておくのはいかがでしょうか。

令和6年度の国民年金(老齢基礎年金)は満額で年額81万6000円※ですので、夫婦二人では年額約163万円。月ごとに割り振ると1カ月あたり約13万円になります。

※出所:日本年金機構 

iDeCoを60歳から10年間で受け取ることを選んだ場合は、60歳から5年間は年額約92万円のみですが、65歳からの5年間では国民年金+iDeCoで年間255万円ほど。月ごとに割り振ると1カ月あたり約20万円です。

この場合、70歳からは国民年金のみとなってしまいますが、iDeCoの受け取りが終了した後は預貯金の2000万円を切り崩して生活することもありでしょう。

例えば、85歳までの15年間で毎年130万円ずつを切り崩した場合は、約130万円×15年間で約1950万円です。この場合は国民年金+取り崩し分で年間約293万円、月ごとに割り振ると1カ月あたり約24万円になります。

もし、夫婦どちらか1人での生活になった場合であっても、国民年金1人分+取り崩し分となりますので、年間では約210万円。月ごとに割り振ると1カ月あたり17万円ですので、1人でも生活することは可能ではないでしょうか。

iDeCoでは、一時金として受け取ることはもちろん、年金として受け取ることも可能です。どちらの受け取り方が向いているか、自営業の強みを生かして何歳まで働くのか、じっくり考えることが大切です。

ライフプランとライフイベントを明確にして受取方法を選ぼう

実のところ、iDeCoをどのように受け取れば良いのか、迷ってしまうことは多いのではないでしょうか。

受取方法を選ぶときには、今後のライフプランや自宅のリフォーム、旅行等のライフイベントを明確にし、いつのタイミングでいくらくらいあれば良いのかを知ることです。

65歳以降も仕事を続けるのか、どのような生活を望むのかを夫婦で話し合い、受取方法を選んでいくと良いですね。