元々は綿紡績の会社だったが、投資会社に転換

設立は1888年です。もともと綿紡績を主事業とする事業会社でした。当時はハサウェイ製造会社という名前だったのが、1950年代に綿織物事業を行っている会社と合併して、バークシャー・ハサウェイという社名になりました。

もちろん、この時点ではウォーレン・バフェットの会社ではありません。バフェットはこの会社の株式に投資する投資家として、関与することになります。1962年から同社の株価を割安と判断して、その株式を買い進めていったのですが、実は投資としては失敗だったそうです。結局、バークシャー・ハサウェイの中核事業だった綿織物紡績業からは徐々に手を引き、バフェットはこの会社を投資会社へと業態転換させました。

バークシャー・ハサウェイは、大きく2つの投資を行っています。「事業投資」と「株式投資」です。

まず事業投資ですが、バークシャー・ハサウェイは一種の持株会社で、傘下にさまざまな業種の子会社を保有しています。

業種で言うと保険業、エネルギー業、製造業、建築業、賃貸業、フライトサービス、運送業、小売業など、実に多岐にわたっていて、その数は60社以上に及んでいます。

これらはすべて事業投資、つまり、実際にその事業に投資し、かつ他の子会社が営んでいる事業とのシナジー効果から、事業全体を成長させることに目標が置かれています。バークシャー・ハサウェイの連結損益計算書の売上高に計上されるのは、この事業投資を行っている企業群の売上高の合計です。

株式投資はバークシャー・ハサウェイにとって“営業損益”

そしてもうひとつが「株式投資」です。恐らくウォーレン・バフェットの投資家としてのイメージは、この株式投資の部分によるところが大きいのではないでしょうか。

たとえば直近だとアップルへの投資や、絶対に売却しないとバフェットが公言しているアメリカン・エクスプレスやコカコーラへの投資は、事業投資ではなく株式投資であり、株式投資によって生じる損益は、営業損益に計上されます。ちなみに、バークシャー・ハサウェイが2020年に、日本の5大商社株に投資したことで大きな話題になりましたが、これも事業投資はなく、株式投資によるものです。

つまりバークシャー・ハサウェイという会社は、事業投資によって参加に多くの子会社を持ちながら、さらに多数の会社の株式への投資を通じて企業価値を高めている、文字通りの投資会社なのです。