◆日本株「ブル3倍」は8月3営業日で半値!

この市場の急変に、日銀は副総裁が「金融市場が不安定な状況で利上げすることはない」と発言、総裁の利上げ継続発言を打ち消すようなコメントを出すなどして事態の鎮静化を図った。金融政策に関する軌道修正を感じさせる発言が功を奏したのか、株価は8月5日を底に戻り歩調にある。8月13日時点では、株価は8月5日からは14~15%上昇し、7月末比でも7~8%安という水準に戻った。

とはいえ、この8月の株価暴落は、7月に日本株インデックスファンドを購入した投資家にとっては、大きな痛手になった。たとえば、7月の売れ筋ランキングで第6位だった「日経225ノーロードオープン」は7月末の基準価額2万8916円が、8月5日には2万3277円と19.50%安に下落した。また、「ダイワ・ブルベア・ファンド6 ブル3倍日本株ポートフォリオ6」は、7月末の基準価額1万9101円が8月5日には8803円と53.91%安の半値以下に急落した。レバレッジ型ファンドの変動率の大きさを示した。

◆変動率が大きい相場ではアクティブファンドへの期待高まる

一方、6月28日に新規設定された「三井住友DS・ジャパン・ハイ・コンビクション・ストラテジー」が売れ筋の16位に食い込んだ。このファンドは、名前にある「コンビクション(conviction)」=「確信」が示すように、今後の持続的な利益成長に確信が強い銘柄を選んで投資するアクティブファンドだ。持続的な利益成長は、株高の重要な要素であるため、市場全体の株価をアウトパフォームする期待の強い銘柄群でポートフォリオを構築するということを意図している。このため、個々の銘柄において業績好転のシグナルとなるような指標をウオッチして投資タイミングを計ることも実施するとしている。どれほど先行きの株高期待が強い銘柄に投資していても、市場全体が大きく下げる時には、同ファンドの組み入れ銘柄の株価も下げる。同ファンドも8月5日には基準価額が7705円にまで下げている。問題は、今後の株価回復局面において、どれほど他のファンドより力強い回復を見せるかだ。8月13日時点では基準価額が9009円まで戻った。今後に期待したい。

日本株のインデックスは、7月11日に史上最高値をつけるものの、その後、25%程度の急落をするなど、価格変動率が大きな市場になっている。株価の水準が半年余りで25%程度も上昇するという大きな値上がりの後だけに、その変動率の大きさも覚悟しなければならないだろう。インデックスファンドへの投資は、その反動率の大きさをストレートに反映する投資成果になる。その変動を抑え、そして、株価の回復時により大きな上昇をみせることによってインデックスを上回るパフォーマンスが期待できるのがアクティブファンドだ。「三井住友DS・ジャパン・ハイ・コンビクション・ストラテジー」のような意欲的なファンドが売れ筋上位に入ってくるのは、優れたアクティブファンドへの期待感を示しているのだろう。今後、実績のあるファンドも含めてアクティブファンドへの評価の変化に注目していきたい。

執筆/ライター・記者 徳永 浩